オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『コズミック・シン』

Cosmic Sin, 88min

監督:エドワード・ドレイク 出演:フランク・グリロブルース・ウィリス

★★

概要

“宇宙の罪”作戦。

短評

ブルース・ウィリスの2021年の出演作。ブルースの近年の出演作にしては珍しくほとんど主役と言ってよい役だったのは良かったものの、映画は普通につまらなかった。人類とエイリアンが戦っているという以外には何をしているのかよく分からないし、特に盛り上がるポイントもないままに“それっぽい”感じで決着がついて終劇する。この規模感の映画としてはちゃんと宇宙のシーンがあったり、ブルースの出演シーンも多かったりと、“頑張っている”箇所があったことは認めるが、やはり普通につまらなかった。

あらすじ

2031年に人類は火星入植に成功し、その後、量子技術の進歩によって宇宙開拓時代が幕を開ける。紆余曲折を経た2524年、ヴァンダー鉱業所有の惑星から“FC事案”──エイリアンとのファースト・コンタクトの報告が成され、ライル将軍(フランク・グリロ)に対応が託される。ライルはかつて7000万人が居住する星に爆弾を投下したことから“血の将軍”と蔑まれる“元”将軍ジェームズ・フォード(ブルース・ウィリス)を招聘し、エイリアンが攻め込んできた惑星エローラへと向かう。

感想

タイトルの「“宇宙の罪”作戦」というのは、フォードの元妻で生物行動学者のゴス博士が「エイリアンに遭遇したら先手を取って相手を絶滅すべし」という理論を提唱したことから、エイリアンの母星を“Q爆弾”なる超大量破壊兵器でぶっ飛ばすという作戦。この人類の歴史上未曾有の危機に際し、ライル部隊だけで勝手にやっているので何がしたいのかよく分からないのだが、政府マターになると対応が遅れて手遅れになるので先手を打ったということでよいのだろう。幻覚を見せられたフォードが「奴らの目的は人類の絶滅じゃない」とか言う場面もあった気がするが、とにかくエイリアンとドンパチやって、最後はQ爆弾をぶっ放すという話だった。

このジャンルの映画において重要となるのは、設定やストーリー以上に“未来感”や“宇宙感”といったものだと思う。前者については本当に酷く、今から500年後の地球がほとんどそのまま現在の地球だった。申し訳程度にロボットバーテンダーやホログラム歌手が登場していたが、ここにワクワクする要素はない。後者については、宇宙空間を移動したり宇宙船が飛んでいるシーンがあったので、絶望的なレベルでは酷くなかったと思う。惑星エローラは“その辺の森”だったが、CGのクオリティは本作で最も頑張っていた箇所だろう。エイリアンについてはよく分からないゾンビみたいな設定が付与されていたが、ダークファンタジーの悪役みたいな彼らがどういう種族なのかよく分からずじまいだった。

さて、肝心の、あるいは注目のブルース・ウィリスの演技について。やはりどこか気の抜けた喋り方であり、それは落ち着きや貫禄といったものとは明らかに異なる。意味もなく言葉に詰まるようなシーンもあったので、やはり失語症というのは本当だったのだろう。「ラジー賞でネタにされていじけただけではないか」とか思って申し訳ない。本作のブルースは“人類の最終兵器”とでも呼ぶべき主人公ポジションなのだが、周囲が話を動かし、フォードが一言二言喋るという演出の多さから彼の“使われ方”が分かるようになっている。彼が一言喋ってはカットが切り替わるというのは、一見リズムを悪くするだけのポンコツ演出のようでありながら、もしかすると苦肉の策なのかもしれない。

イカロススーツ”なる宇宙服を着て“量子跳躍”し、宇宙空間を飛行するライル部隊。「このチャチなスーツで……」と思わなくもないが、やはりこの規模感の作品としては“頑張って”いた衣装かと思う。このスーツの色が、フォードのものだけは”アルマゲドン仕様”とで言うべきオレンジ色となっているのが嬉しいところなのだが、最後の“自己犠牲役”を彼ではなくライルが務めるというのはいかがなものか。違うだろ、そこはどう考えてもフォードの仕事だろう。フランク・グリロも出演シーンが少なく、どちらかと言えば彼の方が“ブルース・ウィリス”向きの役だったような気がする。