オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告』

The War with Grandpa, 98min

監督:ティム・ヒル 出演:ロバート・デ・ニーロオークスフェグリ

★★★

概要

爺と孫の戦争。

短評

デ・ニーロが孫と戦争するコメディ映画。二人がイタズラ合戦する本編は楽しかったのだが、コメディ映画のテンプレである“いい話要素”の和解編にはまったく魅力がなく、終盤はほぼ惰性のみである。児童文学が原作のようなので、本来は戦争の虚しさを優しく学ぶといった主題が込められていたのかもしれないが、本作は“平和で無難なコメディ映画”の範疇に収まってしまっている。もう少しデ・ニーロにはっちゃけてほしかったような気もする。

あらすじ

妻に先立たれて以来、何かと問題行動が続いていた老人エドロバート・デ・ニーロ)。娘のサリー(ユマ・サーマン)に説得され、彼女の家で同居をすることになったのだが、自分の部屋を取り上げられて屋根裏部屋へと追いやられた孫ピーターが反発。ピーターはエドに宣戦布告し、対するエドも交戦規定を結んで対抗することを決意。かくして、祖父と孫の部屋を懸けた戦争の火蓋が切られるのだった。

感想

深夜の騒音攻撃やシェービングクリームの中身すり替えで先制攻撃を仕掛けるピーターに対し(エドが反撃すべく気合いを入れてヒゲを剃ろうとしたら勢いを挫かれる演出は上手かった)、宿題の改竄やゲームデータの破壊で対抗するエド。セルフレジに対応できずに万引き扱いされたことが同居の切っ掛けとなったエドだが(同じことに悩む老人がいたりするのだろうか。だから有人レジがなくならないのか)、ドローンを駆使したりと意外に対応力の高い老人だった。劇中では“エスカレートしすぎ”ということになっているが、映画的には“平和に見ていられる”というレベルで、まあ、普通に楽しい。

交戦規定の内容は二つ。第一に、「民間人を巻き込まないこと」。第二に、「二人の間の秘密の戦いであること」。この内の一つ目の方だが、和解の切っ掛けとなる“大事件”以外にも割とサリーが巻き込まれていて気の毒だった。また、サリーの夫アーサーがエド股間を見て驚愕するシーンが二度もあるのだが、どういう意味合いで驚いたのかが気になる。

一進一退の攻防を繰り広げ、“トランポリン・ドッジボール”で決着をつけることになった二人。この競技自体は楽しそうだったのだが、ここで決着がつかず、そのまま和解編へと進んでいくのは残念だった。一応は戦争映画である。「迷惑かけるから出ていくわ」「おじいちゃん、うちにいて!」の予定調和ではつまらない。内容は何でもいいので最終戦争で決着をつけた上で和解してほしかった。人情路線よりも試合後のノーサイドの方が(いい話の尺を減らして雑にまとめられるので)三十郎氏好みである。

学校ではイジメられっ子なピーター。祖父との戦争を通じて成長し、イジメっ子に抵抗する場面がある。これはテンプレ展開と言えども重要な要素だと思うのだが、ピーターの成長譚として貫徹せず、エド率いる老人軍団がイジメっ子を成敗する展開にしたのは不自然に感じられた。コメディ的なサービス要素ではあるものの、その気になれば“ガチで怖い”感じのデ・ニーロがチンピラファッションに身を包んでいても安っぽさしかない。ピーターはイジメられっ子だったが、女友達のエマちゃん(T・J・マクギボン)が可愛くて嫉妬した。ちゃんと陰キャ軍団でいろよ。

ピーターのお年頃の姉ミア(ローラ・マラノ)がやたらと恋人を家に連れ込み、それに母サリーが強く反発している。恋人ラッセルはそこまで嫌がられるようなダメ男には見えなかったし、娘の恋人を嫌がるのは父親の仕事という気がする。ユマ・サーマンにギャーギャー言わせたかっただけなのか。“娘の恋人に反発する母親”というのはどういう心理なのだろう。