オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ファーザー・オブ・ザ・イヤー』

Father of the Year, 94min

監督:タイラー・スピンデル 出演:デヴィッド・スペード、ナット・ファクソン

★★

概要

父親の喧嘩。

短評

『僕のミッシー』が気に入ったので同じ監督の作品を観てみたのだが、残念ながらこちらはハズレ。同作と同じく“奇人”を扱った一作ではあるものの、あのミッシーと比べると明らかにインパクトが弱い。散発的に笑える場面はあったが、奇人に焦点を絞っていないために笑いもストーリーも“フラフラした印象”が否めなかった。

あらすじ

大学を卒業し、父ウェインに会うために帰省したベン。ひょんなことから友人ラリーと「どっちの父親の方がケンカが強いか」という話になる。二人の父親ともに「自分の方が強い」と言い張り、酔っ払ったウェインがラリーの父マーディを急襲。しかし、ケンカを止めようとするベン共々屋根から隣家に落下してしまい、逮捕された挙げ句にベンが内定を取り消されてしまうのだった。

感想

ウェインのキャラクターはそれなりに面白い。他人のトラックの荷台にプールを作るというエキセントリックさは好きだし、ダメ人間極まる彼が息子の信頼を取り戻すために阿呆をやるという構図にもポテンシャルはあったと思う。しかし、彼の出番は意外に少なく、マーディ編やベンが想いを寄せる元恋人メレディスブリジット・メンドラー)編と話が分散してしまっている。それぞれに笑える箇所はあるのだが、もう少し上手く話をまとめてほしかった。

本作は“父と子”の物語である。ウェインとベン、マーディとラリー。双方の父親たちが息子から尊敬されていないと感じており、喧嘩騒動に端を発する一連の出来事を通じて信頼関係を築くことになる。この“いい話成分”は少々過剰であり、それが薄く引き伸ばされていることもバランスの悪さを感じさせた。ウェインはものすごい変人のはずなのに、“根はいい奴”が前面に出てしまっている。阿呆映画なのだからもっと阿呆であってくれ。

全体の印象として不出来だったということになってしまうが、個々のネタについては光るものもあった。最も笑えたのは、マーディの会社で行われる治験のシーン。彼は“乳首を柔らかくする薬”を開発している。その説明をする女の乳首が硬くなるのも面白いし、男たちの乳首に薬を塗るというだけでも笑える。

他に好きだったのは、“落下ネタ”である。マーディの家から落ちるウェインとベン。モーテルでマーディからスタンガンを食らって二階から落下するウェイン。この監督は高いところから人を落としておけばそれで笑いが取れると思っているに違いない。いや、確かに笑ったけれども。

なぜかラリーはものすごくモテるという設定になっている。三十郎氏には特にハンサムにも見えないし、身体もそんなにマッチョではない。老夫人を夢中にさせてしまうまでの魅力はなかったように思う。誰もが認めるようなマッチョイケメンを使った方がギャグの精度も上がったと思うのだが。それだとフラフラしているという彼の設定との間に齟齬が生じるのか。