オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『マインドホーン』

Mindhorn, 88min

監督:ショーン・フォーリー 出演:ジュリアン・バラット、アンドレア・ライズボロー

★★★★

概要

眼球型ウソ発見器搭載刑事マインドホーン

短評

イギリス製のコメディ映画。三十郎氏は基本的に“阿呆なだけのコメディ映画”が好きなのだが、本作はここ最近観たものの中で圧倒的に笑えた。悔しいくらい笑えた。その理由については後述するが、皮肉合戦というわけでもないのにイギリスらしさが光っていたというところだろうか。マインドホーン刑事に元ネタがあるのかといったことや舞台となっているマン島についてには何も知らないため、本作の真価を理解しているかと言えば怪しいが、とにかくツボった。

あらすじ

眼球型ウソ発見器を搭載した刑事マインドホーンを演じて一斉を風靡したリチャード(ジュリアン・バラット)。しかし、勢いそのままに挑戦したハリウッドで失敗し、現在はCMに出るだけの過去の人に落ちぶれていた。そんなリチャードにとあるオファーが舞い込む。ドラマの舞台となったマン島で発見した殺人事件の容疑者がマインドホーンとしか話さないと言うため、リチャードに白羽の矢が立ったのである。再び注目を集めるいい機会だと考えたリチャードはマン島へと向かう。

感想

頭は禿げ上がり、腹は膨れ上がり、ヒーローの姿も今は昔となったリチャード。ケネス・ブラナー(本人)主催のオーディションでは無様な演技を披露するし、どこからどう見ても果てしなくダメ人間である。とは言え、彼がただ阿呆なだけであれば、コメディ映画の主人公としては“普通”といったところだろう。何が可笑しいって、リチャードの場合は“無駄に格好いい”のである。

面影の残る“ハンサム感”はそれなりとしても、“声”が渋くて格好いい。そこのイギリス英語の発音が加わるものだから、ダメ男のくせにエレガントな響きがある。画面を見ないで声だけ聞いていれば、本当に格好いいヒーローだと勘違いしかねない。この声と見た目のギャップが癖になるのである。

ギャグについてもウィル・フェレルも顔負けなレベルでボケ倒しているのだが、ここにもイギリスらしいエレガントさが。ことさらにボケを強調するのではなく、サラっと“流す”のである。たとえば、港の強風でリチャードのヅラが浮き上がってしまうシーン。これだけでもハゲネタが好きな人間には笑えるのだが、本作はこの“美味しい場面”を軽く流して次にいく。このノリがリチャードのハリボテエレガントと絶妙にマッチし、なんとも言えない笑いを生み出すのである。

そんな“トボけたノリ”の笑いを繰り返し、最後は往年のマインドホーン時代を取り戻すかのようなお約束の展開へ。リチャード(の声)が無駄に格好いいので、彼の活躍にも無駄にワクワクさせられる。そして、やはりダメ男なのでギャップでもうひと笑いできる。また、ここで披露される“ジンガ”のシュールさである。他のボケを軽めに流している分だけに強調している部分もどうしようもなく笑える。どの角度から切り取っても隙がなかった。