オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ヒュービーのハロウィーン』

Hubie Halloween, 103min

監督:スティーヴン・ブリル 出演:アダム・サンドラー、ジュリー・ボーウェン

★★

概要

魔女の町セーラムハロウィーン

短評

Netflixオリジナル作品への出演が群を抜いて多い気がするアダム・サンドラーの主演最新作(これは本人の意向なのか。それとも評価とは無関係に一定の数字を残せる彼をネトフリが厚遇しているのか)。三十郎氏がコメディ映画に求める水準というのは、他のジャンルと比べて明らかにハードルが低いのだが、本作はダメだった。サンドラーが似合わない“陰キャ”を演じているが故に全体のテンションが低く、彼が大げさに驚く場面だけがわざとらしく騒がしい。気に入ったのはせいぜい“万能魔法瓶”のネタくらいだろうか。

あらすじ

全米一ハロウィンが盛り上がるという魔女の町セーラムで生まれ育ったヒュービー(アダム・サンドラー)。彼は心優しい中年だったが、極度の怖がりであることから周囲のからかいの対象となっていた。ハロウィンを誰よりも愛するヒュービーは、監視員としてハロウィンの夜を見回っていたが、町に恐ろしい事態が起ころうとしていた。

感想

アダム・サンドラーと言えば、あの特徴的な“ガラガラ声”が印象的だが、本作ではそれを封印。“もごもご”と喋る陰キャを演じている。これはらしくないとは言えども、キャラクターとの整合性は取れているとは思う。しかし、彼が驚いた時だけ普段の声に戻っていて、いつも以上にわざとらしさが強調されている。EDクレジットの際にも延々と再利用されていたため、この大げさな演技が笑いどころだったのかもしれないが、三十郎氏は全くノレなかった。作品の中核を成すノリに全くハマれなかったパターンである。これは辛い。単体では笑えるネタがあっても、こうなってしまうと心が冷めているのでどうにも笑えないのである。

スティーブ・ブシェミが狼人間(疑惑)の隣人を、シャックが美声のDJを演じていたりと、それなりに笑えるところもある。ヒュービーが常に携帯している魔法瓶の万能性や、町の老人たちがスラングの意味を介さずに下ネタTシャツを着ているのも悪くはない。しかし、基本的には“ヒュービーがからかわれて大げさに怖がる”という描写に頼る部分が非常に大きく、やはりそこはイマイチなのだった。ちょっとテンションが掴みづらい。

実は町で事件を起こしていたのはヒュービーの母親であり、息子をいじめる者たちへの復讐が目的だった。この結末との整合性を取るためなのか、ヒュービーは終始“ドジだけどいい奴”に徹しており、彼がいたずらされることが上手く笑いへと繋がらない。たとえばヒュービーから“いい人要素”を抜いて、“からかう側”に感情移入できるように描いていれば笑えたのだろうか。“バカでどうしようもないけど根はいい奴”くらいの設定でよかったのではないか。これならいつもの明るいアダム・サンドラーでいけただろう。

ハロウィンのニュースを伝えるアナウンサーやリポーターが皆“ハーレイ・クイン”のコスプレをしていた。確かに可愛くてセクシーだが、あのキャラクターだけがハロウィンの仮装として爆発的な人気を獲得した理由は何なのだろう。元のキャラの化粧が濃いから誤魔化しが効きやすいのだろうか。