オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『サンダーフォース -正義のスーパーヒロインズ-』

Thunder Force, 107min

監督:ベン・ファルコーン 出演:メリッサ・マッカーシーオクタヴィア・スペンサー

★★★

概要

太っちょおばちゃんスーパーヒーロー。

短評

肥満の中年女性二人がスーパーヒーローを演じたコメディ映画。見ての通りの“出オチ”映画なのだが、それでも構わない、面白いものは面白い。このように外見を自虐的に扱う笑いは減っていく運命にあるのかもしれないし、三十郎氏の感覚が古いのかもしれないが、それでも面白いものは面白い。ここまで“様にならない”スーパーヒーローの姿を見て笑わずにいられるものか。ダメそうな外見とは裏腹に格好いい活躍を披露するという程でもなかったが、主役以外にも一人だけ強烈なキャラクターがいたおかげで最後まで楽しめた。

あらすじ

1983年、宇宙から飛来した放射性物質がソシオパスにのみ作用し、彼らは“ミスクリアン”と呼ばれるスーパーパワーを身につけた存在となる。傍若無人に振る舞う彼らに遺伝学者の両親を殺されたエミリーは、研究を引き継いでミスクリアンに対抗するスーパーヒーローを生み出すことを誓う。彼女は転校先でイジメっ子から守ってくれたリディアと親友となるも、その生真面目さから仲違いし、疎遠となっていた。時は流れ、大人になったリディア(メリッサ・マッカーシー)が同窓会にエミリー(オクタヴィア・スペンサー)を誘ってみるも姿を見せないため、エミリーの働くビルを訪ねてみると……。

感想

サントラのジャケットだけでも“ハンマー”と“ビンゴ”で結成された“サンダーフォース”がいかに不格好かは伝わると思うが、劇中ではそれ以上に酷く見える。下半身は信じがたいレベルの太さであり、その太さのせいか脚も短く見える。そんなおばちゃんヒーローたちが、「この車の子を産みたい」とまで褒めたスーパーカーの乗り降りに苦労したり、洗い方が分からないスーツに「臭い」と文句を言ったりしつつ、ミスクリアンを退治する。いつの日かこれが“不謹慎”になってしまうのかもしれないが、今のところはどこからどう見ても笑える。

見た目の出オチなので、二人がそれぞれ手に入れた怪力と不可視化の能力も、敵側の(工夫なく被っている)怪力とビームの能力も、ヒーロー映画的に特に面白いということはない。リディアが暴れ回る様子はそれなりに楽しいが、透明になってテイザーを使うだけのエミリーにはほとんど見せ場すらなかった。あくまで太っちょおばちゃんがヒーローとして活躍する滑稽で愉快な姿を楽しむ阿呆映画なわけだが、せっかくのヒーローには珍しい属性なのだから(マーベルとDCはこの“多様性”を真似できるか)、彼らの“活躍”のさせ方にはひと工夫あってもよかったかと思う。

そんな特徴薄めの能力者たちの中で一際目立っているのが、ジェイソン・ベイトマン演じる“クラブ”。カニである。両腕がカニというだけである。それ以外に能力はない。このクラブが“見た目だけ”を象徴するようなキャラクターなのかと思いきや、彼には予想外の活躍が待っていた。なんと彼とリディアが恋に落ちるのである。デートで「放射性カニに陰嚢をやられてこうなった」と告白し、“生の鶏肉”という食の相性が一致。彼らのロマンスこそが、スーツを着たサンダーフォースの登場シーンに次ぐ本作の見せ場かと思う。エミリーがリディアに試したのか尋ねた“カニの体位”がどうしても気になってググったのだが、どうせならばEDロール前のエピローグのオチに持ってきてもよかったのではないか。