オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『鬼畜の森 ゴアマスク・ファーマー』

The Redwood Massacre, 85min

監督:デヴィッド・ライアン・キース 出演:ベンジャミン・セルウェイ、リサ・キャメロン

★★

概要

殺人農夫。

短評

邦題は好きだけど内容は……なイギリス製スプラッター映画。森で五人の男女が怪人に襲われるだけの話なので、ストーリーがあって無きに等しいのは構わないのだが、肝心の殺戮描写がイマイチだった。“尺の稼ぎ方”について普通と違う方法を採用していたことだけは評価したい気がするものの、登場人物を阿呆化させただけで映画としてマイナスにしかなっておらず、特に褒めるべき点は見つからなかった。

あらすじ

森にキャンプにやって来たマーク、カースティ、ジェシカ(眉毛が凄い)、パメラ、ブルースの男女五人。しかし、ブルースが約束の時間になっても一向に現れず、そのまま朝を迎えてしまう。すると、マークとジェシカの二人が姿を消し、残りの二人は捜索に出るのだが、その森“レッドウッド”では20年前に一家惨殺事件が起きていたのだった。

感想

非常にシンプルな話である。映画冒頭、OPクレジット前に女性の殺害シーンが描かれ、「この森には農夫姿の殺人鬼がいます」と教えてくれる。そして、姿を見せないブルースを放置中の四人が夜のトークで20年前の事件について語り、「悪魔の声を聞いた農夫が一家を惨殺したが息子だけ死体が見つかっていない」と教えてくれる。あとは殺人鬼が襲いかかってくるのを待つだけである。

通常、この手のスプラッター映画では、“一人、また一人……”という形で姿を消すことが多い。たとえば用を足しに行ったり、カップルが交わりに出掛けて集団から離れ、そこで殺されるという方式がテンプレである。いずれにせよ、“得体の知れない何者かが森に潜んでいる”と強調することで恐怖を煽るわけだが、本作の場合は怪人の正体を先に明かし、事が始まる前に三人も拉致していく。なかなか斬新である。なお、一人ずつ“消えていく”描写で尺を稼げなくなるため、“順番に殺す”と“捜索”で代替しているのだが、これが何かホラー映画的に効果を上げているということは全くなかった。

B級スプラッター映画にストーリーを求めてはいけない。これはR-15指定の映画をひと足早く観始めた中学生でも理解できることである。したがって、たとえ怖くなくとも、殺人鬼が血みどろでグログロな虐殺の様子を披露して“楽しませて”くれさえすれば十分なのだが、本作のそれはイマイチだった。ナイフで刺して血がドバドバで出てくるまではよいものの、それ以外の武器による攻撃描写が省略されてしまっているのである。斧でとどめを刺したり、ノコで頭を開いたりと、面白くなりそうなシーンはあるものの、その様子は直接見られない。殺人鬼が武器を振るう、犠牲者が苦しむ、血が流れてくるの三つの“周辺部”が描かれるだけである。技術的な問題なのだろう。その程度の映画である。

サクッと拉致された三人が順番に殺され、残りの二人はご丁寧に殺人鬼の拠点“レッドウッド・ハウス”へ向かう。「次は私でお願いします」と殺人鬼にアピールしているかのようである。その後、これまたご丁寧に二人が別行動し、順番に襲われることになるという分かりやすさである。なお、最後に残ったパメラの前に10年前に娘を殺されたという男が現れ、自らの銃を託して「逃げろ!」と助けてくれる(本人は「死ぬのなんて怖くない!」と無抵抗に殺される。10年もの間、何がしたかったのか)。ところが、逃げたはずのパメラはまたまたご丁寧に隣の部屋で殺人鬼を待っているのだった。理解を超えた阿呆集団である。

それでもなんとか逃げ出し(唯一褒めるべき点があるとすれば、この時の“殺され待ち”の集団くらいだろう)、通り掛かったハゲ男の車に乗り込んだパメラ。ところが、何故かハゲ男が道に迷い、助けを求めに車外に出たところで殺人鬼に殺される。このハゲの様子があまりにも怪しいので、明らかに殺人鬼の関係者だろうと思ったのだが、普通に超絶無能なだけだった。ある意味では衝撃の展開である。どこまでも阿呆だらけの一作なのであった。

ちなみに、こんな不出来な一作ではあるものの、『Redwood Massacre: Annihilation』という続編があるらしい。