オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ムービー43』

Movie 43, 94min

監督:ピーター・ファレリー他 出演:デニス・クエイドグレッグ・キニア

他:ラジー賞最低作品賞、最低監督賞、最低脚本賞

★★★

概要

スタジオに持ち込まれたボツ企画集。

短評

超豪華キャストを起用し、完成までに10年もの期間を要したという超大作オムニバス・コメディ。もっとも内容的には、ラジー賞三部門受賞の事実が示す通り、ただしょうもない下ネタを連発していくというだけの酷い映画である。その笑いのセンスは「うんこ!ちんこ!」という言葉だけで喜んでいた小学生の延長線上にあり、本作を楽しんでしまった者は自身の知性の欠如を認める必要があるだろう。10代を遠の昔に終えてしまった“大人”が90分という時間を費やす価値はどこにもない。それでも笑ってしまったのは、つまり、三十郎氏がそういうことである。

あらすじ

とある映画スタジオに一人の脚本家(デニス・クエイド)が企画を持ち込み、自身のアイディアを幹部の男(グレッグ・キニア)に語っている。彼は次々と奇想天外な物語を口にするのだが……。

感想

この脚本家のアイディアという形でオムニバス・コメディがスタート。この“進行役”には『The Pitch』というタイトルがつけられているのだが、国によっては『The Thread』という別バージョンになっているらしい。ちょっと意味が分からない。なお、この話にも「実はフィクションでした」というオチがつくのだが、その後に一話、そしてEDクレジット後に一話と、構成も謎だった。それはともかく、話数が多いため、各話の内容と感想をごく簡単にメモしておこうと思う。きっと下ネタ以外に何もないことにお気づきいただけるかと思う。

  • 『ネックボール(The Catch)』

ベス(ケイト・ウィンスレット)がブラインドデートに行くと、相手のデーヴィス(ヒュー・ジャックマン)が“首から金玉”をぶら下げていたという話。完全に出オチではあるものの、スープに“玉毛”が落ちるシーンが汚すぎて最高だった。オリーブオイルのついた金玉が顔に当たるのは、たとえ特殊メイクだと分かっていても嫌だと思う。

  • 『自宅学習(Homeschooled)』

ロバート(リーヴ・シュレイバー)とサマンサ(ナオミ・ワッツ)の夫妻が近所に引っ越してきた夫婦に息子ケヴィンの自宅学習について話をするのだが、高校生活を“完全再現”するため、授業だけでなくイジメやキスについてまで教えていたという話。自分の母親であれば抵抗があるものの、ナオミ・ワッツは傍から見れば“MILF”であるため、彼女から性の手解きを受けられるのは少し羨ましいと思った。なお、夫婦役の二人は当時実際のパートナーである。

  • 『プープ・オン・ミー!(The Proposition)』

ダグ(クリス・プラット)が恋人のジュリー(アンナ・ファリス)にプロポーズしようとすると、彼女から「顔にウンチかけて」とお願いされる話。とても汚い話だが、悔しいけれど笑ってしまう。相談を受けた友人が下剤のことを「ウンチ版バイアグラ」と表現するのがなかなかのセンスだと思った。なお、二人は当時実際の夫婦であり、性の不一致から離婚に至ったのかは不明である。

  • 『ムラムラ・スーパーマーケット(Veronica)』

スーパーの店員ニールが元恋人ヴェロニカ(エマ・ストーン)と店内で口喧嘩を始め、その内容が店内放送でただ漏れという話。喧嘩の内容がかなり性的なのだが、途中でヴェロニカが口に指を突っ込まれるシーンがあって興奮した。放送を聞いていた客が「レジは俺が代わってやるから彼女を追いかけろ!」と言い出す結末は、実にアメリカ的で心温まるものだった。

ゴッサム婚活パーティーに参加したロビン(ジャスティン・ロング)がバットマンジェイソン・サダイキス)の妨害を受ける話。本作のようなくだらないだけのコメディに豪華キャストが顔を揃えているのも凄いと思うが、DCコミックの版権まで利用するだから更に凄い。スーパーマンからストーキングされていると語るロイス・レーンユマ・サーマンよりも、バットマンから剛毛だと指摘されるスーパーガール(クリステン・ベル)が素敵だった。三十郎氏はあのコスチュームに対して非常にフェティッシュなものを感じている。ハロウィンのコスプレとして流行ってほしい。

  • 『機械の中は子どもでいっぱい(Machine Kids)』

自動販売機やATM、コピー機の中には子供が入っているので、機械が故障していても八つ当たりして彼らを虐待するのはやめましょうというCM。知識がなければ雰囲気に騙されかねないとう警告……ではなかろう。

  • 『iBabe』

女性型音楽プレーヤー“iBabe(キャシー・クリフテン)”のCMと、商品発売後に発生した問題を描いた話。iBabeは大変に素敵なデザインであるため、三十郎氏も是非一台欲しいと思ったのだが、“ヴァギ・ポート”に挿入すると排熱用のファンで切り刻まれるとのことだった。ちなみに販売の責任者をリチャード・ギア、問題発生を予測できなかった彼に呆れる女性社員をケイト・ボスワースが演じている。色違いの“スペシャル・エディション”のオチは皮肉が効いていて好きだった。

  • 『初潮騒動(Middleschool Date)』

ティーンエイジャーのカップルが自宅デート中に女の子が初潮を迎えるという話。相手の男、男の兄、そして双方の父親がたちが登場し、てんやわんやの大騒ぎでである。染み出した血が壁についてしまうので、これも少し汚い話ではあるのだが、冷静に考えてほしい。女の子を演じているのはクロエ・モレッツである。今はだいぶゴツくなってしまったが、当時はヒットガール的美少女がまだまだ健在であり、これは“お宝”である。

なお、一息ついた父親が見るCMが『Tampax』というタイトルの別作品となっており、“サメ映画”的な需要も満たせるお得なエピソードだった。

  • 『アダルトこびとづかん〜妖精捕獲作戦(Happy Birthday)』

ルームメイト(ショーン・ウィリアム・スコット)の恋人を寝取ってしまった男が、その穴埋めとして彼に誕生日プレゼントを送る話。そのプレゼントというのが、レプラコーン(ジェラルド・バトラー)である。三十郎氏は映画のイメージしかないレプラコーンだが、欧米ではメジャーな妖精なのだろうか。「金貨くれたらしゃぶってあげる」という女妖精(エスティ・ギンズバーグ)が素敵だった。彼女のような妖精のいるファンタジー世界の住人になりたいものだが、金貨が必要ならば現実と大差ないか(妖精レベルの美女に出会うのは難しいだろうが)。

  • 『フィーリング・カップル/下衆でドン!(Truth or Dare)』

出会い系で知り合ったドナルド(スティーヴン・マーチャント)とエミリー(ハル・ベリー)がデートで“トゥルース・オア・デア”をし、“デア”の内容が過激化していくという話。ハル・ベリーが特殊メイクのおっぱいを放り出してワカモレをかき混ぜている。おっぱいについたワカモレを味見するのは素敵だと思った。なお、ドナルドが最終的に整形手術で“アジア人化”するという差別的なネタがあるのだが、『The Pitch』の中で「それはアジア人に失礼だろ」とフォローされていた。出っ歯は分かるが、あの奇妙な髪型もアジア人のイメージなのか。

  • 『ブラック・バスケットボール(Victory's Glory)』

公民権法制定前に黒人バスケチームが白人チームに挑む話。コーチは次のように語る。曰く、「黒人と白人でバスケするんだぞ。黒人が勝つに決まってるだろ」と。現代の感覚からすれば全くその通りである。なお、黒人チームの一人は30~45センチという巨大なペニスの持ち主なのだが、その幅はなんだ。人によってはその誤差の中に埋没してしまうだろうに。

  • 『Ned ネッド(Beezel)』

アミー(エリザベス・バンクス)が恋人と同棲を始めたら、彼のペットの猫ビーズル(2Dアニメーション)がゲイで彼を狙っていたという話。男の水着姿をおかずにシコる猫がなかなか邪悪だったが、多様性的にはこれもNGネタ扱いになりうるか。ちなみに、このエピソードの監督はジェームズ・ガンが手掛けている。流石ディズニーから一度は追放されただけのことはある。アップデート仕様で綺麗事を並べてみようと、根の部分はそういうノリなのだろう。