オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『カラー・ミー・ブラッド・レッド』

Color Me Blood Red, 79min

監督:ハーシェル・ゴードン・ルイス 出演:ゴードン・オー・ハイム、キャンディ・コンダー

★★

概要

理想の赤色は血の色。

短評

血まみれ三部作の三作目。猟奇性の高いストーリーは嫌いじゃなかったが、なぜか残虐性が元祖ゴア映画よりも大幅に弱まっていた。普通は作を重ねるごとに過激化していくだろうに。何故だ。解せない。設定以外の部分にも面白い描写はあるのだが、これでは流石に物足りない。

あらすじ

画家のアダムは理想の色が出せずにスランプに陥っていた。しかし、ひょんなことから自分の求めていた赤色が血の色であることに気付く。されども、自分の血液だけでは必要な量を賄うことなど当然叶わず、彼は恋人のジジを殺してしまうのだった。

感想

アダムが血の色の良さに気付く切っ掛けは、ジジが壊れたキャンバスで怪我をしたことである。「ちょっと血を使わせてくれ」とは言ったものの、「いや、自分の使えや」と正論を返され、自分の指を切るアダムが素直で可笑しかった。貧血を起こして倒れた彼が「これではいかん」とジジを殺して彼女の血を使うのだが、血を採取した上で筆で塗るのではなく、傷口をキャンバスに直接擦り付けるというワイルドな描法が素敵だった。

ジジの血で描いた画が好評を博したため、次の作品に取り掛かるアダム。その標的となるのは、浜辺に建つ彼の家の真ん前でイチャつくカップルである。「なにもそこで見せつけなくても……」と引くような場所でイチャつき、アダムの所有物である水上自転車を無断で使うような彼らは、ある意味では“殺されて然るべき登場人物”だった(ホラー映画におけるこの概念の初出はどの作品なのだろうか)。なお、アダムは水上自転車を使用中のカップルにボートで接近し、男を海上で刺し殺す。死体はそのままである。血液が目的ではないのか。もったいないだろう。女は家へと連れ帰り、今回は採血を行っていた。ただし、血管をどうこうという発想はないらしく、引きずり出した腸から“搾り取る”という描写が素敵だった。

そして三人目……と思われた標的の殺害に失敗し、アダムが撃ち殺されて終劇となる。犠牲者が二人(+男)しかおらず、その上、グロい描写が二人目の腸だけとなると、これを「血まみれ三部作」の一つと呼ぶのはいかがなものかという気がしてくる。劇中で描かれる“血の色”への拘りにはメタな要素があるのかもしれないが、普通に絵の具の赤にしか見えず、何か特別性を感じさせてくれる要素もなかった。

ちなみに、アダムはジジの死体を砂浜に浅く埋めて処分するのだが、これを薪拾い中の女が発見(「Holy bananas!」という感嘆の台詞がなぜか面白かった)。よく人が来るようなビーチに埋めるだけでも大問題だが、あの浅さは酷い。いくらなんでもアダムが間抜け過ぎる。しかし、“絵を描く”という以外のことに一切気を回さないというのも、好意的に評価すれば彼の狂気を表していたと言えるだろうか。