オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ランボー ラスト・ブラッド』

Rambo: Last Blood, 100min

監督:エイドリアン・グランバーグ 出演:シルヴェスター・スタローンパス・ベガ

★★

概要

ランボーvsメキシカン・カルテル

短評

シリーズ五作目。『最後の戦場』は最後じゃなかった。最後にランボーが『ホーム・アローン』をやる展開こそ楽しかったのものの、暴力描写は前作から大幅に弱体化し、ストーリーもランボーじゃなくてもよいようなものになりと、全体的には酷い出来だった。“決して訪れることのない心の安らぎ”というのがシリーズの根底にあるテーマなのだろうが、流石にランボーを戦わせるために無理に用意した設定の感が強い。前作のラストで故郷アリゾナへの帰還を描いておきながら、“それでも”とやるような話ではなかったと思う。

あらすじ

ミャンマーでの戦いを終え、故郷アリゾナに帰ってきたランボーシルヴェスター・スタローン)。彼は未だにPTSDを抱えながらも、旧友マリアや彼女の孫ガブリエラ(イヴェット・モンレアル)と共に穏やかな日々を過ごしていた。ある日、ガブリエラが彼女を捨てた父の居場所が分かったと言い出し、ランボーたちの反対を振り切ってメキシコまで会いに行くのだが、カルテルに誘拐されてしまう。

感想

ガブリエラがメキシコに行くと言い出した時点でその後の展開は予想がつくだろう。父親がどうだとかカルテルがどうだとかはどうでもよくて、早く“ランボー大暴れinメキシコ”が見たい。少々スローな立ち上がりではあったものの、ランボーがメキシコに乗り込んで本編開始かと思ったら、どうしたことか暴れてくれないのである。

ガブリエラの父親、友人、誘拐犯と手際よく脅してカルテルまで辿り着いたはよかったが、勢いそのまま敵の本拠地に乗り込んでリンチされるランボー。これではただの阿呆である。敵のボスが「お前は殺さずに女を見せしめにする」と舐めプしたおかげで一命を取り留めたものの、この時点で死んでいてもおかしくなった。ランボーは都合よく現れたフリージャーナリストに助けられ、薬を打たれて売春させられていたガブリエラを救出。しかし、帰り道に彼女が命を落とすという展開である。ランボーが後先考えずに行動していなければガブリエラは死なずに済んだだろうし、それを理由にランボーが戦いに身を投じることもなかったことになる。無理やり戦いの理由を作った感がありありである。

抑えきれない衝動をぶつけるかのように自宅庭に掘ったトンネルで戦いの準備を整え、敵を迎え撃つランボー。身分証を取られたので住所はバレているが、手下をちょっと殺してガブリエラを奪還しただけでは無視されて終わりかもしれないと思っていたら、再びメキシコに乗り込んで敵を挑発する。この時、ランボーは敵のマルティネス兄弟の内、弟ヴィトの頭を落として兄ウーゴが自宅を襲撃するように仕向けるのだが、ガブリエラを薬漬けにしたのはヴィトの方であり、どちらかと言えばこいつの方が復讐対象な気がしなくもなかった。リンチされた時にボスとして振る舞ったのがウーゴなのでランボーは勘違いしたのだろうが、ちょっとスッキリしない。

いよいよ始まるランボー版『ホーム・アローン』。ヴィトをメキシコで殺せるのであればウーゴもメキシコで殺してくればよかっただろうと思うのだが、どうしてもトンネルを使いたかったのだろう。また、リンチされた経験から「戦いはホームで行うべし」と学んだに違いない。この戦いのアイディア自体は楽しかったものの、ランボー一人に対して多数のメキシコ人という劣勢の構図のはずが、ホームアドバンテージが大きすぎてランボーが無双するばかりであり、緊張感に欠ける戦いとなっていた。

「いつでも殺せたけど最後のお楽しみに取っておいたぜ」と逆舐めプを発動するランボー。彼が宣言どおりに素手で心臓を掴み出す決着シーンは好きだったのだが、どうせならナイフを使って皮膚を切り裂くことなく、肋骨を引き裂くくらいの力技を見せてほしかった。このようにバイオレントな描写もありはするものの、前作のスプラッター映画もかくやの肉体破壊祭が相当に強烈だっただけに物足りなさは否めかなった。

前作の「最後」は邦題詐欺だが、本作は第一作「First Blood」に対応する形で「ラスト」を使い、原題からして最終作チックになっている。しかし、邦題的にはまだ「ファイナル」も使えるので、その気になればまた続編を作ればいいと思う。正直に言って、最終作としての“締め方”は最終作でない前作の方がマシである。「THE END」も使えそうだが、これでは“ランボーvsピエロの怪物”になってしまうか。PTSDを根治するならそれくらいやってもいい気はするが。