オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ハンナ ~殺人兵器になった少女~ シーズン3』

Hannna Season3

監督:サシャ・ポラック他 出演:エスメ・クリード=マイルズ、ミレーユ・イーノス

概要

殺人兵器少女計画への反逆。

短評

シーズン2のアクション軽視な湿っぽい路線を見て“切ろう”と思ったのだが、今回で最終シーズンらしいので一応見届けておくことにした。エスメ・クリード=マイルズのスタント能力は最後まで大した進歩がなかったし(それでも対人戦の描写は“見れるレベル”になっていたと思う)、人間殺人兵器を育てた目的がショボくてガッカリだし、そしてシリーズの核であるはずの感情の変化も雑すぎたとは思うものの、どんな形であれ、“終りを迎えた”という事実だけでも海外ドラマ的にはありがたいことなのである。

あらすじ

メドウズで育てられた殺人兵器少女たちが世界へと放たれる。マリッサと共謀して密かに計画を妨害しようとしていたハンナ(エスメ・クリード=マイルズ)は、自らの標的であるアッバスという男と恋に落ちる。彼女たちの目論見は露見し、二人は追われる身となるものの、マリッサの父でもある黒幕エヴァンズ(レイ・リオッタ)に決死の戦いを挑むのだった。

感想

メドウズで育てられた少女たちの暗殺対象となるのは、“若者たち”。SNSで意識の高そうな若者たちを監視し、将来のテロリスト予備軍を今の内に始末しておこうという作戦である。正直に言って、標的としては“雑魚”でしかない。相手もまさか自分が命を狙われるなんて思っていないものだから無防備だし、わざわざ少女を洗脳して殺人兵器として育て上げる必要があったのか甚だ疑問である。これなら普通に殺し屋を派遣してちゃちゃっと済ませればよかったのではないか。ドラマのターゲット視聴者層であろう若者たちにとっては、狙われるということが一種のステータスであり、意識高い系も「大人たちは私たちを恐れている」と鼻高々になれるのかもしれないが、その界隈に向けたサービスでしかなかった。

活動家の青年アッバスと恋に落ちたハンナ。この描写が唐突すぎて何か裏の目的でもあるのではないかと勘ぐったのだが、本当に恋に落ちていた。チョロい女である。この雑すぎる展開によって三十郎氏の関心は大幅に削がれてしまったため、以降はほとんど“ながら見”となってしまった。暗殺既遂を装ってアッバスをマリッサに保護させたものの、彼に会いに行って危険に晒すハンナ(おっぱいは微妙に見えなかった)。戦闘能力は一流のレベルにまで育っていることになっているが、オツムの方は非常に怪しい。

ハンナ以外にも良心に目覚めて計画に反逆するメドウズ訓練生がいる。ジュールズ(ギャンナ・キール)である。ジュールズとは対称的に最後まで計画に忠実であり続けたサンディ(エイン・ローズ・デイリー)という少女もいて、彼女たちの行動を分けた要因にこそ焦点を当ててほしかったような気がする。“良心の目覚め”という反証不可能なレベルの説明に帰するのではなく、訓練や洗脳の不備といった形に還元しなければ、ドラマシリーズ化してハンナ以外の少女を描いた意味がないだろう。本編であるハンナの方がしょうもない恋愛ごっこをしているのだから、せめてこの視点から物語に深みを出してほしかった。

ラスボスを演じるレイ・リオッタ。彼は存在感抜群だったが、結局の所、“悪い大人”の象徴というのが“父親による抑圧”というテンプレであり、メドウズの少女たちも、マリッサも、皆彼の犠牲者ということになる。怖そうなおっさんを悪者にしておけば、皆それで満足なのだ。“少女たちの物語”の結末としてテンプレ回答になるのだろうが、それで全てを片付けてしまったがために、“殺人兵器少女育成計画”という本作の核心を十分に描き切れなかったのではないだろうか。