オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ファンタズムII』

Phantasm II, 96min

監督:ドン・コスカレリ 出演:ジェームズ・レグロス、レジー・バニスター

★★

概要

トールマン、再び。

短評

シリーズ二作目。「全ては夢だった」→「そうじゃなかった」という前作のオチからどう話を続けるのかが注目ポイントだったが、なんだか方向性がよく分からないことになっていた。トールマンがマイクに特有の悪夢ではなく、彼に会ったこともない女性にも共有されるという設定が追加されているものの、肝心の“それが何なのか”についての奥行きが生まれない。二作目となると謎だけで物語を引っ張ることは難しく、ただマイクたちとトールマンたちが再度戦うのを待っているだけの退屈な印象を残した。

あらすじ

全ては悪夢だったはずがマイクに襲いかかるトールマン(アンガス・スクリム)と小人軍団。なんとかレジーが救出したものの、その後、マイクは精神病院での入院生活を送ることとなった。それから七年後、エリザベス(ポーラ・アーヴィン)という女の“声”がマイクに届き、トールマンが彼女に襲いかかろうとしていることを知る。マイクは主治医を騙して退院し、今度こそトールマンを退治すべくレジーに助けを求めるのだった。

感想

「妻子もいるし、もうええやろ……」とノリ気でないレジー。しかし、彼の家が爆発炎上して妻子は死亡し、「これはやるしかないぜ」と戦闘モードに突入。彼は後に「少しは色気が欲しいから」とヒッチハイク中の女アルケミー(サマンサ・フィリップス)を拾っていたし、随分と切り替えが早い。あまりに心情描写が雑なため、今回も全てはマイクの悪夢だというオチの方が納得がいくのだが、「で、結局どういうことなの?」となるのが本作である。

無事にエリザベスと合流し、トールマン軍と死闘を繰り広げ、“塩酸攻撃”によって勝利を収めたマイクたち。しかし、エリザベスの住む町から去ろうとする彼らの前に“溶けた”はずのトールマンが再び出現。マイクは「これは夢だ」とちゃぶ台返ししようとするものの、トールマンが「違うぞ」と言って終劇となる。

マイクに会ったこともないエリザベスがマイクやトールマンのことを知っているというのは、エリザベスの存在も含めてマイクの夢と考えることもできる。しかし、どちらかと言えば、トールマンという“実体”が存在し、何らかの力が作用して彼らに悪夢を共有させていると考える方が自然な気がする。しかし、「じゃあ爆発は?」「じゃあゴーストタウン化は?」と考えていくと、本作は「結局どういうことなの?」に対するヒントを提示してくれておらず、ただ混乱だけを残したという印象である。少なくとも監督の頭の中ではちゃんと設定が固めた上で映画を撮っているのだろうか。そんな根本的なレベルの疑問が湧いてきた。本シリーズは最終作を覗いてすべて同じ監督・脚本の作品であるため、せめて何かの一貫性があることを期待したいものだが、果たして。

お互いに夢を通じて知り合っていたという理由で、実際に会うなりいきなりキスするマイクとエリザベス。かつての出歯亀少年も随分と出世したものである。一方のレジーも負けてはおらず、こちらはアルケミーと激しく交わっている。本当に妻子がいたのか怪しくなってくるレベルの切り替え力である。なお、レジーは七年の時を経るもU字型ハゲの毛髪量自体は変わっておらず、ハゲ方そのままに白髪が増えていた。そして、アルケミーからは頭の形を褒められている。ちなみに、レジーを演じるレジー・バニスターが同じハゲのロブ・コードリーに似ていて仕方ないのだが、特に血縁関係はないらしい。

エリザベスはガスの栓の締め忘れを危惧し、レジーはガス爆発でトールマンと小人を家ごと吹っ飛ばし、そしてレジーの妻子も吹っ飛ばされと、この監督はガスに対する異常な不安を抱えているのだろうか。きっとオール電化住宅にはいち早く飛びついたことだろう。それとも、家以外に車も爆発炎上するし、ただ爆発シーンを撮りたいだけだったりするのか。