オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『人類最終兵器 ドゥームズデイ・マシーン』

Doomsday Machine, 82min

監督:リー・ショレム、ハリー・ホープ 出演:ボビー・ヴァン、ルタ・リー

★★

概要

地球壊滅後、金星への旅。

短評

1972年のレトロB級SF。当然にポンコツ映画ではあるのだが、低予算故のショボさばかりでなく、ストーリーの“ぶん投げ感”もなかなかのものだった。物語の構造がジョーダン・ピール版『トワイライト・ゾーン』の『火星への旅』に似ていると思ったのだが、元ネタなのか、それともよくある設定なのか。それはともかくとして、ショボさを楽しむ以外に特に見どころはなかったかと思う。

あらすじ

中国が地球を壊滅させる秘密兵器を開発したとの情報をスパイが入手。その使用は目前まで迫っており、事態を重く見たアメリカ政府は金星へ旅立つ“アストラ計画”のクルーの内、三人を女性に入れ替え、ノアの方舟とすることを決める。そうとは知らずに地球を飛び立ったプライス大佐たちだったが、地球を飛び立った後、兵器が本当に使われて地球が壊滅してしまったことを知る。

感想

男四人と女三人の人類限定ノアの方舟として金星を目指す宇宙船。金星からの帰還は二年後の予定となっているものの、地球に戻ったところで壊滅済み。そんな状況、そしてこの人数で「人類の未来は君たちに託された!」と言われても当人たちは困ってしまうだろうが、そういう話なのである。そんな自滅型の兵器を中国が使用した理由は全く理解できないが、これはきっと核兵器への批判が込められているに違いない。そうだ、そういうことにしておこう。

さて、タイトルになっているドゥームズデイ・マシーンの出番はここで終わりである。後は宇宙船に取り残された男女七人の行動を描くSFドラマとなるわけだが、何か示唆的な描写があるでもなく、たった七人で種を存続させるための方策を考え抜くハードSFが繰り広げられるわけでもなく、適当に恋に落ちたり揉め事が発生するだけとなっている。燃料が足りなくなり、「三人だけを船に残して後は切り捨てる」との極限の判断を迫られる状況が発生。残る三人をプログラムで決定するという提言に対し、「そのプログラムは誰が組むんだ!」と文句をつける人が出てくる辺りは現代にも通ずる要素だったか。AIが人間よりも優秀な判断をしてくれるという素朴な信仰が存在するが、それが決して万能ではないことは明らかである。

選ばれなかった男メイソン。彼がケイトに「俺たち二人で生き残ろうぜ」と迫り、それを拒否したケイトが勢い余ってドアを開くスイッチを押してしまう。すると二人は空気圧の関係で宇宙空間に放り出され……とはならず、その場にプカプカと浮いていた。あの定番の描写も意外に技術的に難しかったりするのだろうか。こうしたショボさは別に面白くとも何ともないのだが、船内が何故か“極彩色の照明”で照らさているという謎設定はポンコツ感が楽しかった。あれが宇宙のイメージだったのか。

せっかく三人を選出したものの、プライス大佐が「そんなの関係ねぇ」と一蹴。しかし、切り離し作業のために結局は二人が取り残されてしまう。もう一度しかし、三人で旅を続けることとなった“本体”の方がどこかに消え去ってしまい、取り残された二人の方が遭遇したロシアの宇宙幽霊船へと舞台が移る。考えてみれば、怒涛の展開の連続である。その二人には驚愕の結末が待ち受けているのだが、「え、ここで終わりなの?」と戸惑うこと必至である。その結末は是非ご自身の目でお確かめいただ……くほどのものではないと思う。