オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ストレンジ・シスターズ』

Sisters, 105min

監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ 出演:プロイユコン・ロージャナカタンユー、ナンナパット・ルートナームチュートサクン

★★★

概要

タイのお化けガスー。

短評

割と真っ当なジュブナイルホラーなのかと思ったら、終盤に壮絶なネタ映画と化すタイ映画。“真っ当”な部分については台詞による説明が多すぎるし、特に恐怖を感じるわけでもないため、逆にそれでよかったと思う。青春ドラマの要素が強めなのかと思わせておいてまさかの大爆笑展開である。本作はタイに伝わる「ガスー」という幽霊をモチーフとしているのだが、その正体こそが最大の楽しみとなるため、知らずに観た方がいいと思う。衝撃である。ガスーについての知識を有する本国の観客がどう受け止めたのかが気になるところではある。

あらすじ

女子高生のウィーナー(プロイユコン・ロージャナカタンユー)は、妹同然に育ってきた従妹のモーラーナンナパット・ルートナームチュートサクン)をとあることから守っていた。モーラーの母スロイはセックスすると何者かに“変身”してしまう体質の持ち主だったが、彼女がその禁を破って身籠ったモーラーもまた同じ体質を受け継いでいたのである。しかし、ウィーナーの懸命なボディガードの甲斐もなく、モーラーに変身の徴候が顕れはじめ……。

感想

モーラー役のナンナパット・ルートナームチュートサクンは別名ミューニックと言い、BNK48というグループのメンバーなのだとか。つまり、本作はアイドル映画であり、邦画であれば三十郎氏がまず観ることのないタイプの作品ということになる。というわけで、ガスーが正体を現すまでは(観たことないので知らないが)日本のアイドルホラー映画よろしくJホラー的な雰囲気があるのだが、そのガスーのビジュアルがとにかく強烈である。それまでの台詞過多な割に設定が飲み込みにくくて退屈したのを全て覆してくれるレベルの衝撃である。邦画にもこんな珍品が紛れ込んでいたりするのだろうか。発掘するつもりはないけれど。

さて、そのガスーの正体。女性の首が身体と分離し、背骨と内蔵をぶら下げて胴体から抜け出してくる。グロテスクな火星人といった趣だが、それがなんと“飛ぶ”のである。しかも内臓は蛍光色に光る。この可笑しさを表現する語彙を三十郎氏は持ち合わせていない。とにかく観ていただくしかない。

ガスーが胴体から分離するまでは、守られる側のモーラーが「もうこんな生活イヤ!」「イケメンとデートするわ!」と言い出したり、守る側のウィーナーも「なんで人生の全てをモーラーに捧げなきゃいけないのよ!」と気付いてしまったりと青春映画要素が強めである。また、ガスー軍団はニキビ痕治療クリニックを隠れ蓑に経営している堕胎医院で胎児を食べて若返りしたりしていて、不気味な存在感を放っている。なお、特に本題であるガスーとは関係ないのだが、ウィーナーの暮らすアパートには幽霊が多数出現しており、“それっぽい雰囲気”を演出してはいる。

それらの全てを投げ出してのガスーなのである。空中浮遊しながら体当たりしたり、野生動物のごとく噛み付いてきたりするが、それ意味ないだろ。胴体ついたままで戦った方がどう考えても強いだろ。他人の身体を乗っ取る際に分離する必要があるのは理解できるが、それ以外の場面で本気を出す必要がどこにあるのか。

母スロイは「変身なんか知らん!」と性欲の赴くままに男と交わっていたが、モーラーは演者がアイドルがなので“イチャイチャ”止まりだった。ヤラなくても変身するのか。ガスー軍団は何故か全裸になって胴体と分離するのでおっぱいも見られる。モーラーも折角だから脱げばよかったと思う。モーラーがロリ美少女的ビジュアルのため、彼女を男たちから守るウィーナーにブスの嫉妬感があったものの、ウィーナーの魚類系フェイスも慣れてくると可愛く思えた。

ストレンジ・シスターズ(字幕版)

ストレンジ・シスターズ(字幕版)

  • プロイユコン・ロージャナカタンユー
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