オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『女教師 シークレット・レッスン』

여교사(Misbehavior), 96min

監督:キム・テヨン 出演:キム・ハヌル、ユ・イニョン

★★★

概要

教師と生徒のイケナイ関係。

短評

「エロサス」という程のスリルはない韓国映画。この邦題なので流石にセックスシーンはあるのだが、それも“おっぱいなし”のヌルいものであり、大胆なイメージのある韓国女優の演技としては物足りなかった。ただし、エロくもないしスリルもないしでは何の見所もなさそうなものだが、背景に格差問題を織り込んでくる辺りが韓国映画らしさを感じさせ、物語の展開にも工夫が見られた。期待していた内容とは全く違ったが、これはこれで面白かった。

あらすじ

男子校の化学教師として働くヒョジュ(キム・ハヌル)。しかし、彼女は非正規雇用の臨時教員であり、何かと不当な扱いを受けることも多かった。その上、疲れて家に帰れば作家(=ニート)の恋人がソファでゴロゴロしながら待っている。更に、次はヒョジュの番だったはずの正規雇用の化学教師としてやって来たのは、理事長の娘で大学の後輩のヘヨン(ユ・イニョン)。どん詰まり中年なヒョジュは、ある夜、体育館で泥酔していたバレエ特待生ジェハにキスされてしまって以来、彼のことが気になっていたものの、彼がヘヨンと交わっている姿を目撃してしまう。

感想

ヒョジュには“疲れた年増”の感があるものの、男子高校生なんて箸が転んでも硬くなる年頃である。したがって、女教師と美男子生徒がイケナイ関係に陥るだけの話なのかと思いきや、ヒョジュよりも先にヘヨンが交わっていて一つサプライズ。“非正規臨時教員”と“理事長の娘”という構図からも分かる通り、本作は“持つ者”と“持たざる者”の話なのである。

若さ、美しさ、金、ちゃんと働いている婚約者──自分とは対称的に全てを持っているヘヨンが気に食わないヒョジュ。ヘヨンが生徒を交わっていた事実を知った彼女は、その弱みを利用して“奪おう”とする。ヘヨンの婚約者に誘いを掛けていたのは失敗に終わったようだが、ジェハには“親切な先生”として近づき、遂に若いイケメンに抱かれるという僥倖を味わう。「私もまだまだいけるじゃない!」である。

しかし、世界は残酷である。ジェハもまた若さや美しさを“持つ者”であり、“持たざる者”でしかないヒョジュは所詮は搾取対象でしかない。華やかで可愛いヘヨン先生を抱いた後に「男子校なんだし生徒が変な気を起こさないように」と地味に徹するおばちゃん先生をイケメンが抱こうとする時点で察しはつくのだが、ジェハは本心からヒョジュを愛しているわけではない。彼女は貧乏なジェハを自費でバレエ教室に通わせたり、スーツを買って着せたりしてウキウキしているが、どう見ても“ママ活”である。ジェハの方も男娼にしか見えない。ヒョジュの恋人があまりにクソすぎて、ジェハにハマってしまうのに納得できるというのがまたなんとも……。

その事実を突きつけられるだけであれば、生徒とオイタした先生の払う代償としては妥当なところなのだろうが、本作は更に残酷である。実はジェハをヒョジュに接近させたのはヘヨンであり、「逆に弱みを握れ」ということだった。性欲の奴隷たる男子高校生ジェハがヘヨン先生にゾッコンだというだけでも理解できる状況ではあるものの、やはりここにも“持つ者”と“持たざる者”の構図が。ヘヨンはジェハのことを「お子ちゃまと遊んだだけ」と雑に捨て去り、真の勝ち組は生まれながらの金持ちであることを示すのである。

ジェハとヘヨンの関係が続いていると知ったヒョジュが嫉妬して「知ってるわよ」と警告しても「教師なんかすぐ辞めるし別にいい」と返されるし、理事長パワーを利用して契約更新を見送られたりする。土下座に近い謝罪で「仲良くしましょ」の言葉を勝ち取ったものの、「仲良く」とは「子分扱い」の意味である。ヘヨン先生はめちゃくちゃ可愛かったが、金持ちはどこまでも傲慢なのだ。ヒョジュにとっては甘いロマンスが苦い経験へと変わってしまったが、最後はスッキリした顔をしていたので、あれでよかったのだろう。最後に抱いてもらえたし。

奔放なヘヨン先生の姿が、三十郎氏の高校時代の同級生を思い出させた。彼が「教育実習生とキスまではした」と告白して仲間たちを驚愕と興奮の渦に巻き込んだことを今でも鮮明に覚えている。今のようにスマホでパシャリとやるようなことはなかったので証拠はないが、特に男前でもないのに不思議とモテる男だったのできっと本当だったのだと思う。女性には年下男と遊んでみたくなる瞬間があるのだろうか。そのサインを見抜く術を早くから知って自信に満ちた人生を送りたかったものだが、時既に遅し。