オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ヘルアトラクション 絶叫館』

Talon Falls, 74min

監督:ジョシュ・シェーヴ 出演:モーガンウィングス、ライアン・ルドルフ

★★

概要

本当は怖いお化け屋敷。

短評

お化け屋敷に本物の殺人鬼がいたという定番シチュエーションのホラー映画。「お化け屋敷の見世物が実は客自身でした」という発想は面白かったかと思うが、運営も客もポンコツ感が酷く、なんとでもなりそうなところを女二人がギャーギャー騒いでるだけに感じられた。セットはよく出来ていたかと思うが、残虐描写についても今ひとつであり、粗製濫造のホラー映画という印象は避けられず。まあ、犯人が普通の田舎のおっさんたちではこんなものか。レザーフェイスのモノマネして喜んでるようなおっさんだしな。

あらすじ

ケンタッキー州へキャンプに向かっていたリンジーモーガンウィングス)、ショーン、ライダー(ジョーダン・ルドルフ)、ラルフの男女四人。その道中で立ち寄ったガソリンスタンドの店主に「近くに“タロン・フォールズ”というお化け屋敷がある」と勧められ、行ってみることにする。お化け屋敷は大変に繁盛しており、3時間待ちの列を成していたのだが、係のおっさんが「初回サービスでスピードパスをあげよう」と言う。しかし、それは彼らを誘い込むための罠だったのだ。

感想

「こんな何もないド田舎に住みたくねえ」とラルフにディスられ、「たまに狩りが楽しめるぜ」「お前みたいな不愉快な奴が獲物な」と親切にも“真実”を教えてくれるGS店主。しかし、お化け屋敷の中で恋人ライダーと盛りはじめるような単細胞生物ラルフにはその忠告の意味が分からず、「ひゃっほー!行ってみようぜ!」と自ら罠に突っ込んでいく。客の拷問を見世物とする上で、その“仕入先”が問題となるわけだが、こうしてよそ者を積極的にリクルートしている辺りは設定がちゃんとしていたかと思う。キャストを“雇う”ことが出来れば、リアル過ぎる拷問ショーを見せられるわけで、お化け屋敷の人気が出るのも頷ける話である。

仲間とはぐれたり、勝手にオペレーション室に忍び込んだりして、運営に捕獲される四人組。彼らと同じ檻に入れられていたハゲ曰く、「凶暴な犬がいるせいで逃げられない」のだと。このハゲは自身の言葉の通り脱出時に犬に襲われていたが、ジャーマンシェパードは優しい目をしているように見えた。短尺の映画なのに「犬がいるから出られない」で時間を稼ぐのはやめていただきたいものである。なお、脱出の妨害に現れる被り物デブが弱すぎて緊張感を削いでいる。

本作は、“脱出に成功したリンジーが医者からヒアリングされている”という状況から時系列を遡る形でスタートする。医者は「事故に遭ったんだよ」と言っていた気がするが、リンジーが目隠しされていてその通り病院にいるはずがない。そうでなくともオチが読み易すぎる状況設定なのに、これで“どんでん返し”を決めてやったとばかりにドヤるのはいかがなものか。

お化け屋敷前半のサイケデリックなカラーリングから一転して、薄汚い後半ステージは雰囲気が出ていたかと思う。また、臭いで犯行が露見しないのか心配になる“ゴミ捨て場”の造形も高く評価できる。ただし、拷問器具についた血の色も程よく、チャッチャとナイフを研ぐ動作も好きだったが、直接的な残虐描写は(主に量的な意味で)そこまででもなかった。“耳を削ぐ”というのは、特殊メイク的に表現しやすいのだろうか。爪を剥ぐのは痛そうだった。

日本語字幕が「幽霊屋敷」となっていたのだが、これだと本当にお化けが出てくる方の呪われた家のイメージである。普通に「お化け屋敷」でいいのに。同じ意味なのに印象がガラッと変わる不思議。