オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『死体が消えた夜』

사라진 밤(The Vanished), 101min

監督:イ・チャンヒ 出演:キム・サンギョン、キム・ガンウ

★★★

概要

殺したはずの妻の死体が消える話。

短評

ロスト・ボディ』の韓国版リメイク。小さな差異はあれど、概ね忠実なリメイクである。したがって、出来が悪いわけではないのだが、オリジナル版でオチを知っている人が強いて観る必要はなかったかと思う。「財閥」や「恨」の要素が韓国らしさを感じさせはするものの、やはり結末に驚いてこそのストーリーだったと思う。

あらすじ

妻ユン・ソリ(キム・ヒエ)を亡くしたばかりの大学教授パク・ジンハンに警察から電話が掛かってくる。曰く、死体安置所からソリの遺体が消えてしまったのだと。捜査を担当するジュンシク刑事はジンハンを疑うが、その通り、ソリはジンハンが殺していたのだった。財閥二世の妻と格差婚するも、大学の教え子ヘジン(ハン・ジアン)と浮気して妻が邪魔になったジンハンは検出されない新薬で殺害したのである。そして、彼は実は妻が生きているのではないかと怯えることになる。

感想

基本的なストーリーはオリジナル版とほぼ同じである。妻が財閥出身であることの影響は、刑事の上司が「さっさと教授を解放しろ」と圧力を掛けてくる程度で、大きな違いという程のものではなかった。タネ明かしのシーンでは、誰もが「よくここまでやるものだ」と呆れつつも感心するだろうが、韓国ならではの「恨」がその執念に説得力を与えていただろうか。ただし、オリジナル版から変更した復讐方法については、ドロドロとしたものを感じさせない“優等生”的結末に終わっていたように思う。せっかく変えるのなら、オチを知っている観客に改めて衝撃を与えるような結末にしてほしかった。

オチが分かってしまっていることの影響が大きいのだろうが、財閥妻はその傲慢なキャラクターの割に「もしかして生きているのでは……」と感じさせるだけの存在感が欠けていたように思う。三十郎氏が「パネマジだ!」と批難したベレン・ルエダは凄かったのだ。彼女と比べると、本作の格差婚妻は“魔女感”が足りない。ただし、韓国の方がスペインよりも男尊女卑社会だろうから、ジンハンの妻に対する劣等感や教え子との浮気に走る展開には説得力があるのだろう。妻からは仕事を見下されているのだから、質問攻めしてくれる学生なんて可愛くてたまらないに違いない。

本作も決してつまらなくはないのだが、やはりオチを知っている影響は大きかった。上述の妻の生死以外にも、終盤に様々な要素が繋がる怒涛の展開や勢いが魅力の物語なのに、それを“待っている”状態になってしまうのである。「おお!あれが!これが!」と驚くこともできず、ただの確認作業になってしまっていたように思う。このように“印象”が重要となる映画については、「どちらの方が面白かったか」や「どちらを先に観るべきか」の判断が難しい。先に観た時の体験の方が面白くなるに決まっている。もっとも、そんなことは百も承知の上でリメイクしたのだろうが。リメイクに不向きなタイプの話だとは思う。