オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ネバーセイ・ネバーアゲイン』

Never Say Never Again,134 min

監督:アーヴィン・カーシュナー 出演:ショーン・コネリーキム・ベイシンガー

★★★

概要

原爆奪還作戦。

短評

ショーン・コネリーの正真正銘のボンド引退作となった番外編その二。諸事情あって制作された『サンダーボール作戦』のリメイクである。わざわざ同じ俳優で同じ話をやらなくても……と思わなくもないのだが、同作との違いを楽しむのもまた一興かとは思う。水中での大スペクタクルは同作ほどではないものの、サメにはガッツリ出番があるし、Mr.ビーンで有名なローワン・アトキンソンが出演しているのも嬉しい。とは言え、連日のシリーズ鑑賞で新しい作品に慣れてきてしまっているため、多少の中弛みを感じるところはあった。

あらすじ

現場を離れていたジェームズ・ボンドショーン・コネリー)は、身体から“毒素”を出すプログラムに取り組んでいた。ある夜、ボンドが理学療法士の女と寝ていると、窓の向かいの部屋で怪しげなことをしている男女を目撃する。刺客の襲撃を受けたと話すボンドを、Mは「妻でも寝取ったんだろ」と相手にしなかったが、その数日後、演習中の疑似核弾頭二つが本物にすり替えられて盗み出され、スペクターから脅迫を受けてしまう。

感想

ボンドがバハマへと飛び、ラルゴとなんやかんやあって、核弾頭を取り戻すという流れは本家と同じである。ボンドがスペクターのNo.12ファティマ(バーバラ・カレラ)の襲撃を受ける回数の多さが同作との違いかと思うが、割とコミカルな描写が目立っていた印象である。

ファティマと共にダイビングしていると、彼女に“発信機”を取り付けられ、それに誘導されたサメが襲ってくる。いくつかのサメ映画に見られる“サメ兵器化計画”が一足早く実現されている。サメの窮地を切り抜けた後は釣り人(ヴァレリー・レオン)と交わるのだが、部屋に仕掛けられた爆薬を女の部屋で一戦交えることで回避する。現地連絡員フォーセット役がローワン・アトキンソンだったりするため、コネリーの高齢化もあってアクションの面では本家に敵わないことを意識した上での演出なのだろうか。QがMI6の予算について「CIAで働けばよかった」と文句を垂れる場面も笑えた。

なお、「コネリーの高齢化」と書いたが、彼は当時53才であり、現在のダニエル・クレイグとほぼ変わらない。前者が老けて見えるのか、後者が若く見えるのか。現代の美容とフィットネスの技術は凄い。

本作のボンドガールは、トレーニング施設の理学療法士パトリシア(プルネラ・ジー)、釣り人、スペクターのNo.12ファティマ、ラルゴの愛人ドミノ(キム・ベイシンガー)、新米諜報員326号ニコル(サスキア・コーエン・タニュジ)の五人。パトリシアとドミノは原作登場キャラクターらしく同じ名前だが、No.12はフィオナからファティマに名前が変更されている。彼女はキャラクターの面でも大きく変化しており、「私を歓喜の極地に導いてくれた女はファティマだと署名しなさい!」とボンドに迫る性豪であった。そのキャラクター性を反映してなのか、セックスの描写が本家よりもあからさまになっていた。

また、ドミノのダンスの練習着が薄すぎておっぱいが透け透けとなっている。ボンドがマッサージ師に扮してドミノにセクハラ接触する場面は、最近の作品には見られない“往年の”を感じさせた。裏切りのバレたドミノがジハード戦士たちにオークションに掛けるられる場面が妙にエロかった。

カードゲームではなく珍しくビデオゲームでラルゴと対戦するボンド。スコア表示でどちらが優勢なのか以外に何をしているのか分かりづらいシーンである。ボンドは慣れない操作に苦しんでいたようだが、007たる者、現代のゲームにも対応しなければならないのだ。本物のスパイには目立たない人の方が採用されやすいらしいので、無個性オタクにもチャンスが……多分ない。

本家のテーマ曲は使用できないということで、音楽の雰囲気もかなり違うように感じられた。手掛けたのはなんとミシェル・ルグランらしい。豪華だ。言われてみると、なんだかオシャレな感じがした気がしてきた。