オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『007 オクトパシー』

Octopussy, 130min

監督:ジョン・グレン 出演:ロジャー・ムーア、モード・アダムス

★★★

概要

ファベルジェの卵と宝石泥棒とソ連タカ派

短評

タイトルがただの下ネタなシリーズ13作目。『ゴールドフィンガー』以来となる名前がタイトルに採用されたオクトパシーだが、当時の最高齢ボンドガールということもあり、正直に言って彼女があまりタイプでないというのが最大の弱点の一作である。その点を除けば、時代背景が上手く反映されたストーリーは面白く、後続作品にもオマージュされたと思しきアクションが登場するのも楽しかった。

あらすじ

ファベルジェの卵の偽物の出どころを探っていた009が東ベルリンで殺害される。捜査はジェームズ・ボンドロジャー・ムーア)へと引き継がれ、ボンドは本物の出品されるサザビーズのオークション会場に出向く。評価額の倍近い価格で強引に落札したカーンという男を追ってボンドがインドへと飛ぶと、女性だらけの宮殿に住むオクトパシー(モード・アダムス)という女の存在が浮かび上がってくるのだった。

感想

謎の女オクトパシーの正体は盗賊団の首領なのだが、実はカーンに裏切られている。カーンはソ連タカ派オルロフ将軍と通じており、オクトパシーの所有するサーカス団を利用して東ベルリン内でテロを起こそうとしていたという話である。タイトルにまでなっている女が“いいように使われている”というのは少々情けない気もするが、前作のラストでも重要な要素となった「デタント」の時期におけるソ連内部の派閥抗争を上手く利用した物語だったかと思う。

インドでのロケは大部分がウダイプールで行われたそうである。有名なタージ・マハルが映るものの、それがあるアーグラからは遠く離れている。ボンドが逃亡する際に“ゾウ”に乗った軍団が出てきたり(逃げるボンドは“ターザンごっこ”で対抗)、サドゥーが飲み込んでいる剣で戦う辺りがインドらしくて楽しかった。格子が“六角形”になっているのは三十郎氏にも見覚えがあるのだが、どのような文化由来のものなのだろう。

本作のボンドガールは、黒幕かと思いきや実はハメられていたオクトパシー、カーンの情婦かと思いきや実はオクトパシーの手下のマグダ(クリスティナ・ウェイボーン)、OPクレジット前の本編とは無関係なシーンで色仕掛けを披露するビアンカ(ティナ・ハドソン)の三人。オクトパシー役のモード・アダムスは『黄金銃を持つ男』以来の再登板なのだが、同作よりも頬骨の目立つキツい顔立ちになっていたように思う。彼女よりはマグダの方が好きだが、こちらも細くて角度のついた眉が時代を感じさせた。彼女ら正式なボンドガールよりも、“オクトパシー軍団”の中の巨乳ちゃん(キャロリン・シーウォード)と褐色ちゃん(チェリー・ギレスピー)の二人の方が気になった。彼女たち女性が堂々たる活躍を見せるのも、ここ数作品続いている流れである。モテモテなQが羨ましかった。枯れてないな。

なお、「オクトパシー」の名は“タコの権威”である父がつけたそうである。いくらタコが好きだからと言って、「タコ」と「女性器」を合体させた名前を娘につけるなんて酷い父親だと思う。

本作には“走る列車の屋根での戦い”が登場する。『スカイフォール』でのそれが記憶に新しいが、作品数が増えると新しいことをやりづらくなるのか。それとも“オマージュ”できるネタが増えるのか。その戦いやイーサン・ハントの如く飛行中の飛行機にしがみつくアクションは明らかにロジャー・ムーア本人が演じているわけではないものの、迫力あるシーンには仕上がっていた。一方の本人は“コスプレ”をしている場面が多く、ちょびヒゲの敵軍人にはじまり、ワニ、ゴリラ、ピエロに扮装。いいのか、それで。