オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『スピーシーズX 美しき寄生獣』

Decoys, 96min

監督:マット・ヘイスティングス 出演:コリー・セヴィエール、ステファニー・フォン・フェッテン

★★★

概要

童貞大学生vsセクシーエイリアン。

短評

スピーシーズ 種の起源』のシリーズ10作目ではない無関係な邦題詐欺。それなのに、パクリ元を上回る全六作のシリーズ化されているそうである(「X」が増えていく。その続編すらも邦題詐欺なのかは不明)。邦題がミスリードを狙っただけではなく内容的にも明らかにパクっており、始まった瞬間に画質でそれと分かるダメ映画ではあるものの(テレビ映画ではないらしい)、“珍作的”に光る要素はあった。童貞の物語ならではの意外性があり、「くそっ……こんなので……」という類の悔しい笑いが漏れた。

あらすじ

寮の洗濯場で二人のセクシーな編入生──リリー(ステファニー・フォン・フェッテン)とコンスタンス(キム・ポイリアー)に出会った童貞大学生のルーク。彼は勢い余って二人の部屋に侵入するものの、二人の胸から触手が生えてくる場面を目撃してしまう。真相を暴こうと意気込むルークだったが、リリーの誘惑にあっさりと陥落。しかし、後から現れたリア充ボビーにリリーを取られてしまう。ところが、翌日ボビーの死体が発見され、前夜にトラブっていたルークは容疑者扱いされてしまうのだった。

感想

童貞に絡むセクシー女子大生の正体が“繁殖を目的としたエイリアン”というのは、パクリ元の『スピーシーズ』と全く同じである。「うへへ……」と鼻の下と股間の棒を伸ばした男が、ジョニーに導かれるままに地獄へと落ちる。ただこれだけの話であれば、おっぱい要員もナターシャ・ヘンストリッジほど美しいわけでもなし、エイリアン役は超絶美人JDのはずが老けていてJDに見えないしと、劣化した部分だけが目立つパクリ企画に過ぎない。

本作の面白さは、その“童貞性”にある。ルークの忠告を聞かず、「遂に童貞とサヨナラだぜ!」「ハロー、三次元!」と盛り上がる友人ロジャー。彼はコンスタンスから誘惑を受けるのだが、一度目のチャンスを「初めては特別にしたいから……」と女々しいことを言い出して潰し、二度目のチャンスは泥酔して台無しにする。

このロジャーの勝負弱さに童貞を感じられずにはいられないのだが、そこから先が更に面白い。三度目の正直のチャンスを迎えた際、ロジャーはコンスタンスに「殺人エイリアンじゃないよね?」と質問する。すると彼女が「実はそうなの……」と告白するのだが、「じゃあ、俺はエイリアンのパパになる!」という謎のロマンティック超展開を迎えるのである。なお、彼は無事に死亡する(なんかもの凄く悲しい感じで)。

知り合った夜に部屋に忍び込む時点で相当にヤバい奴な主人公ルーク。「リリーたちはエイリアンだ!」と言い出した張本人のくせに、キスされると「彼女は特別だ……」と完落ちし、ボビーに取られると「ちくしょおお!正体を暴いてやる!」と態度を二転三転させる。「だから童貞なんだよ」と言いたくなるようなクソ野郎である。

そんなルークが友人の女アレックス(ミーガン・オリー)の力を借りて“捜査”するのだが、この内容が本当に酷い。「盗撮サイトで買った」と事も無げに言い放つ盗撮用カメラをシャワールームに設置するようアレックスに頼み、それを“証拠”として警察に提出。当然に「これは犯罪だよ」と返される。続いて、コンスタント交わる予定のロジャーの部屋にカメラを仕込み、彼が泥酔してダメだと分かれば自らリリーを連れ込むのだが、自分をカメラの死角に行こうとする。彼が熱に弱いと分かったエイリアンをバーナーで脅す姿は、エイリアンよりもよほど悪役なサイコパスだった。これも童貞ならではの暴走か。