オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『007は二度死ぬ』

You Only Live Twice, 117min

監督:ルイス・ギルバート 出演:ショーン・コネリー若林映子

★★★

概要

ジェームズ・ボンド in JAPAN。

短評

日本が舞台のシリーズ五作目。コネリーの一度目のボンド引退作である。「相撲!忍者!海女!」という異国趣味と宇宙戦争というSF要素とがミックスされた一作であり、独特の味わいを生み出している。日本の描写についてはボンドが日本人に成りすますものを筆頭に“笑って楽しむ”べき類のものが多いものの、大掛かりなセットや特撮については出来がいいという謎のバランス感だった。当時の日本について知っているわけではないのでどこまで現実と乖離しているのかは分からないが、日本人であれば他作品以上にツッコみながら観るのが楽しい一作だろう。

あらすじ

アメリカの宇宙船が謎の飛行物体に捕縛される。アメリカは当然にソ連の犯行であると批難し、両国間の関係が緊張。イギリスは謎の飛行物体が日本に着陸したとの情報を得て、調査のためにジェームズ・ボンドショーン・コネリー)を送り込む。しかし、ボンドは待機していた香港で暗殺されてしまうのだった。

感想

そもそもボンドが“死んだフリ”をする意味があまり感じられなかったのだが、ちょっとした迷惑系Youtuber並に界隈では目立つ存在なのだろう。目立ちたくないのならボンドを日本に送り込むのは間違った選択としか思えないが、それを言ってはお終いである。他にも、ボンドが日本人に成りすまして海女と結婚するのも(下の毛まで染めた割には髪型以外に変化が見られない)、忍者の訓練を受けるのも、目的の分かりづらい行動が多い一作だった。なお、死んだはずのボンドはワルサーPPKから「これを使っているのは一人だけ」と見抜かれるものの、あれは官給品ではなかったか。

リアル横綱佐田の山を連絡員に使い、次の連絡員アキ(若林映子)と接触するボンド。相撲という奇妙なレスリングは、外国人にとって非常に“分かりやすい日本”であるらしい。彼女の導きで秘密警察のタイガー田中に接触するのだが、そこでボンドは女性による“洗体サービス”を受けている。これは日本の“特殊浴場”を暗に表現したものなのか。それとも、そういう“非風俗”の店があったりしたのか。仕事そっちのけで日本旅行を満喫するボンドは、「酒は人肌に燗して」と日本通ぶりをアピールしていた。三十郎氏は冷酒の方が好きである。

本作のボンドガールは、香港の“最高のダック”リン(ツァイ・チン)、連絡員アキ、嫁キッシー鈴木(浜美枝)、大里の秘書でスペクターのNo.11ブラント(カリン・ドール)の四人。前作に続いてブラントに“神通力”が通じず、男としての魅力の衰えを感じさせるボンドだが、日本人二人は見事に籠絡している。

東京から神戸まで自動車で移動する苦行を乗り越え、Qの開発した“リトル・ネリー”をゲットしたボンド。玩具みたいだと思ったら本当に飛んで興奮した。

これまではペルシャ猫をナデナデしているだけだったブロフェルドが遂に“顔出し”している。彼のアジトである火口内基地のセットがとてもよく出来ているのだが、あれは全て実物大なのだろうか。宇宙船の着陸シークエンスがとてもよかった。なお、ブロフェルドが逃亡する際に様々な隠し扉を熟知している様子はどことなく小物感があった。小心なのは愛猫も同じであり、銃声にビビって逃げ出してしまう姿が可愛い。

姫路城は忍者を訓練するための道場らしい。その訓練の様子に“忍ぶ”要素はまるでなく、実際の行動も普通の特殊部隊みたいだったが、刀を使うことで一応の差別化を図っていたか。もっとも、アキを暗殺した刺客の方がよほど忍者らしかったが。