オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『007 サンダーボール作戦』

Thunderball, 130min

監督:テレンス・ヤング 出演:ショーン・コネリー、クローディーヌ・オージェ

他:アカデミー賞特殊視覚効果賞(ジョン・スティアーズ)

★★★

概要

原爆奪還作戦。

短評

テレンス・ヤングが監督に復帰したシリーズ四作目。水中のシーンがとにかく凄い一作であり、本来はもっとシリアスになってもおかしくない設定もそのためだけに用意した感があった。また、凡百のサメ映画よりはよほどちゃんとサメの登場するサメ映画でもある。迫力満点な水中での大規模撮影の他、いくつかの”お約束破り”で楽しませてくれるような描写もあり、いよいよシリーズとして円熟味を増してきた感があった。

あらすじ

原爆二基を搭載したNATO爆撃機が消息を絶ち、スペクターから恐喝の要求が届く。その額は1億ポンド。政府は原爆が見つからぬ場合には支払いに応じることを決めるが、その前に捜索&奪還作戦“サンダーボール”が決行される。ジェームズ・ボンドショーン・コネリー)はカナダ行きを命じられるものの、爆撃機に乗っていたはずが自身が死体を目撃したパイロットの情報からバハマが怪しいと睨む。

感想

前作『ゴールドフィンガー』から予算が三倍に増えたらしく、潜水艇などを大胆に使用したクライマックスの水中撮影はとにかく凄いことになっている。それはボンドの存在が霞んでしまうような正に大乱闘であり、現代の基準で考えても撮影が大変そうだと思った。当時ならばなおさらだろう。そんな凄いシーンなのに、魚やタコが優雅に泳ぐ様子を挿入して緩急をつけるという謎の演出が光っている。

本作のボンドガールは、リハビリ施設の職員パトリシア(モリー・ピーターズ)、作戦の参加メンバーだがほぼ出番がなく殺されるポーラ(マルティーヌ・ベズウィック)、スペクターのNo.12で巨乳のフィオナ(ルチアナ・パルッツィ)、そしてラルゴの愛人ドミノ(クローディーヌ・オージェ)の四人。この内、フィオナから「神通力がなくなったのね」と言われてプライドを傷つけられるボンドだったが、ドミノはしっかり寝取っていた。デート中に置き去りにしたのに……。また、パトリシアについては口説き方が完全にセクハラでしかないのだが、この価値観を引きずっているおっさんが同じことをしてしまうのだろう。我々はジェームズ・ボンドではないし、ボンドですらも現代では許されまい。

スペクターの幹部が集う広大な会議室に入っていく隻眼のNo.2ラルゴ。この会議室は“隠し部屋”となっているのだが、隠すには少々広すぎるような気がした。なお、ラルゴはこの会議の場で「2億8000万ポンドを要求する」と発言しているものの、実際の要求額は1億ポンドに減っている。何故だ。彼がヴォランテ号をスピードモードに切り替えて逃亡する際、置き去りにされても戦い続ける部下たちが健気だったのだが、動けもしないのに軍艦に立ち向かうのは無茶だと思った。

ボンドの股間パワーが敵側の女に通じなかった以外に、“船でイチャイチャ”のエンディングにも一工夫加えられている。かと思いきや……の流れで『ダークナイト』のラウのように“回収”されるのだが、あの方式だと機内まで引き上げられそうもないし、ボンドに抱きついているだけのドミノにとっては相当なスリルだと思う。

ボンドの髪型が“ペタッ”としているのように見えたのだが、本作からコネリーがカツラを使用しはじめたとのことである。ヅラなのに沢山泳がされるなんて気の毒な……。