オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『007 ロシアより愛をこめて』

From Russia with Love, 115min

監督:テレンス・ヤング 出演:ショーン・コネリーダニエラ・ビアンキ

★★★★

概要

ソ連の暗号解読機入手作戦。

短評

シリーズ二作目。日本での劇場公開時のタイトルは『007/危機一発』である。シリーズ屈指の人気作であり、三十郎氏にとってもコネリーボンドの枠を超えて『スカイフォール』を除けば最も好きな一作となる。暗号解読機を巡ってイギリス、ソ連、そしてスペクターが三つ巴を繰り広げるというスパイ映画らしい構図の完成度は高く、国際都市イスタンブールの異国情緒や秘密アイテムの登場も楽しい。そして、何と言っても本作のボンドガールであるタチアナ・ロマノヴァこそが歴代No.1の美女であることに疑いの余地はなく、時を経てもなおその魅力が色褪せることは全くない。

あらすじ

ソ連特殊部隊スメルシュからクレッブ大佐をスカウトした悪の組織スペクターは、在トルコ大使館で働くタチアナ・ロマノヴァ(ダニエラ・ビアンキ)を利用して暗号解読機レクターを強奪することを画策。その護衛にMI6のジェームズ・ボンドジェームズ・ボンド)を指名させ、ドクター・ノオの復讐との二兎追いを狙う。情報を得たMI6は罠だと疑うものの、先方の狙い通り罠だと知れば挑戦したくなるのが英国人気質。さっそくボンドはイスタンブールへと飛び、タチアナに(性的)接触を図るのだった。

感想

ボンドのキャラクターの魅力でもっていた印象の強い前作と比べて、本作はストーリーの完成度が飛躍的に向上している。冷戦を背景とした暗号解読機争奪戦を軸として、その裏で“悪の組織”を暗躍させる。“シリアス”と“楽しさ”のバランスが非常に上手く取れていたように思う。ジプシーの集落でのキャットファイトのように特に意味のないサービスシーンもありはするものの、キャラクター以外の面でも観客を引きつけるに足る“ちゃんとした”ストーリーだった。

本作のボンドガールは、同じ役で二作品に登場した唯一のキャラだというシルヴィア・トレンチ(ユーニス・ゲイソン)、キャットファイトを繰り広げるヴィーダ(アリジャ・ガー)とゾラ(マルティーヌ・ベズウィック)、そしてタチアナ・ロマノヴァの四人。タチアナ以外の存在感は極めて薄く、逆にタチアナの存在感は際立っている。彼女こそが三十郎氏に“ロシア美女”という存在への憧れを抱かせた張本人なわけだが、演じるダニエラ・ビアンキがイタリア人だと知ったのは後の話。イギリスに寝返る際の“ちょろさ”が時代を感じさせはするものの、ベッドに潜り込む登場シーンは鼻の下が二倍に伸びるし、ボンドやNo.3に脅されて涙目になっている時の表情が実にそそる。文句なしに美しかった。

タチアナの歴代No.1ボンドガールの座は、三十郎氏が007シリーズに出会って以来揺らぐことがなかったのだが、最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』にはあのアナ・デ・アルマスが出演している。はて、どうしたものか……。別にどうもしないし、アルマス嬢が魅力的であれば大変に嬉しいのだが、自分の中でタチアナの絶対的優位との整合性をどうつけたものか観る前から困っている。

スカイフォール』ではイスタンブールという舞台を、『スペクター』では列車内での決闘を、本作からオマージュしたサム・メンデス。彼も本作がよっぽど好きなのだろう。『スペクター』での“拳銃でヘリを撃墜”する描写には無理があると思ったのだが、本作でも似たようなことをしていて笑った。メンデス監督作に限らず、クレイグボンドになってからは“船でイチャイチャ”というお約束のエンディングが採用されていなかったかと思うが、果たして、最終作で見ることができるのか。

Qからもらったアタッシュケースを「必要ないかな」と言っておいてちゃっかり有効利用したり、様々な場面で敵側グラントの助けを借りていたりと、お茶目なところが光る本作のボンドだった。ネイビーのスーツとネクタイ、ライトブルーのシャツの組み合わせは本作が初出かと思うが、このファッションが最も好きである。