オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『人面魚 THE DEVIL FISH』

人面魚:紅衣小女孩外傳(The Tag-Along: The Devil Fish), 113min

監督:デビッド・ジュアン 出演:ビビアン・スー、チェン・レンシュオ

★★★

概要

魔神vs虎爺。

短評

台湾製ホラー映画。原題に「外傳」とあることからも分かるように『紅衣小女孩』という映画のスピンオフらしい(「紅い服の少女」で検索すると1984年の映画がヒットするのだが、2015年と2017年にシリーズ二作品が本国で公開されている)。同作を観ていないから分からない点があるのかもしれないが、色々と詰め込みすぎてとっ散らかっている印象は否めなかった。ただし、“ご当地要素”を感じさせるのは三十郎氏好みだし、(“手入れ”したのか若干の“エマニュエル・ベアール感”が出ているとは言え)まだまだ可愛いビビアン・スーを見られたのも嬉しかった。

あらすじ

かつて台湾のランタンで虎爺が魔神を封じたという伝説があった。時は流れて2007年。その虎爺の力を借りたエクソシスト稼業をしているジーチェンは、長らくその降臨から遠ざかっていた。そんな彼の元に一家五人を惨殺したとされるホンが連れてこられる。ジーチェンは虎爺ではなく弟子の力を借りて辛くも悪霊を魚に封じ込めるのだが、その様子を盗撮していたジャハオ少年が魚が口から吐き出した小魚を持ち帰ってしまい、彼の母ファン(ビビアン・スー)に異変が起きはじめる。

感想

タイトルこそ『人面魚』となっているが、「恐怖の人面魚」といった類の映画ではなかった。魚はあくまで“触媒”である。実際には魔神(=悪魔)と虎爺(=フーイエ。虎のように強い道士みたいな名前だが虎の姿をした神様)の代理戦争である。本作を一言でまとめるならば、「虎爺は凄いんだぞ!」である。シーマンみたいな人面魚が出てくるB級映画のノリを期待した身からすると少々残念だが、その内容で110分超えは困る。

魚要素が出てくるのは、魚の鱗みたいな肌を持って生まれたために処分されてしまった子供がいて、その父ホンが魚を釣って食べていると「美味いか?」と顔が出現して取り憑かれるという辺り。その後も悪霊が魚に封じ込められたりはするものの、顔は出てこない。なお、ホンから出した時にジーチェンは魚を“揚げる”のだが、揚げた魚をそのまま捨てたのはホラー映画的知性の発現によるものなのか。ジャハオの友人が「ブーちゃん」と呼ばれているので、もしや彼が食べるのではないかとも思ったが、それはなかった。

夫に捨てられ、離婚によって息子を奪われそうになり、精神不安定になっている母フェイ。弱っているビビアン・スーは可愛いが、そんな弱みにつけ込まれて“リーガン・マクニール化”する。あの可憐なビビアンが……。これはありがちながらも納得のいく描写だが、もう一つの“本人の精神状態が影響する”タイプの描写には笑った。

ジーチェンに虎爺が降臨しなくなっていたのは、息子の出産で妻メイリン(ベル・シン)が命を落としたからである。「祈りに邪念が混ざるとダメ」なのだとか。そんな彼が「虎爺様、おらに力を貸してくれー!」と邪念を振り払うと、魔神に吹っ飛ばされた際に脇腹を貫いた太い枝を抜いて戦闘を続けられたりする。「虎爺が降臨する」ということ自体がどんな状態なのか分かっていなかった身からすると、この能力バトルは正に超展開。正直に言って、ホラー要素は全部吹き飛んだ。ちなみに、「奥さんか赤ん坊か早めに選んでね」とジーチェンに告げる医師の様子は随分と冷たいと思ったし、それを受けて母子のどちらかを選ぶこともなく自分が死んで赤子を後に残そうとするジーチェンは無責任だと思った。

ピアニストのフェイがシューベルトの『魔王』を弾くのに合わせて魔神が暴れまわるのだが、台湾に古来よりいる存在のくせにクラシック音楽好きなのか。