オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『アクアスラッシュ』

Aquaslash, 71min

監督:ルノー・ゴティエ 出演:ニコラス・フォンテーヌ、ブリタニー・ドリスデル

★★

概要

恐怖のウォータースライダー。

短評

プールだ!水着だ!惨劇だ!三十郎氏の好物である“お色気系スラッシャー映画”なのだが、そのジャンルの作品であることが信じられないくらいにテンションの低い一作だった。必須条件であるおっぱいもちゃんと出てくるし、グロ描写も面白い。誰の目にも明らかな構造的欠陥を解決する術を全く持たなかったとは言え、70分と短尺に収めたことで“その瞬間”だけに全力特化できている。しかし、阿呆映画と割り切ればいいはずなのに妙に淡々としている。「え、なんで?」と言いたくなるような不思議な映画だった。

あらすじ

ウェットバレーという35年前に殺人事件の起きたぷ起きたプールで高校の卒業パーティーが開催される。参加者たちは酒に、ドラッグに、そしてセックスに、思い思いに満喫するのだが、そこには何者かの不穏な視線があった。迎えた二日目、パーティーの目玉である“ウミヘビレース”が巨大ウォータースライダーで開催されるのだが、三つあるコースの一つに刃物が仕掛けられていたのだった。

感想

仮に現実のウォータースライダーにパッケージのような刃物が仕掛けられたとして、一組目以外に誰が被害に遭うだろう。本作はホラー映画的陰謀や知能指数の低さによって続く者が何人かは出てくるものの、そう何度もは続かない。どちらにしたって“その場限り”である。したがって、“一度きり”しかホラーできないというのが本作の構造的欠陥である。

この欠点をなんとか解消しようと努力した跡は一切見られず、パリピが騒ぐ様子と犯人の一応の伏線を張ることに映画の尺の大半を費やしている。ビキニカーウォッシュや深夜のおっぱいパーティーは目の保養になったが、クライマックスの惨劇と対を成す程のテンションではなく、もっと振り切った演出にしてもよかったのにと思わずにはいられない(高校生設定によっておっぱいを出せないいう事情もないようだし)。犯人が狙った相手を殺して辻褄が合ったことにはなるものの、そんなものは特に求めていない。もっと「おっぱい!おっぱい!」でええじゃないか。せっかくのプールなのだから。

全体としては不満が残る出来ではあるものの、“その瞬間”だけは面白かった。パッケージ写真の通りに三人組の女がクロスした刃物に突っ込んでいくというそれだけなのだが、一人目のアリス(マデリーン・ハーベイ)が勢いそのまま突っ込んで豪快に四つ裂きにされる一方で、二人目の女は“引っ掛かり”、三人目が“待機”しているような状態となるのである。三人目には「早く逃げろ」とツッコみたいところだが、彼女が茫然自失としているところに後ろから男が突っ込んできてフィニッシュとなる。なんと阿呆な。

この三人組が死んだ時点で次の被害者を出すことは防げるはずだが、そうもいかないのがホラー映画の世界である。なぜかレースを運営している側の“卒業請負人”プリシラブリタニー・ドリスデル。設定はアラフォーのはずだが本人はアラサー)が浮気夫に対して「私たちも勝負しましょ」と言い出し、持ち場を放棄してスライダーに入っていく。それは後で事情が分かるので理解できるとしても、三人組と同時に他のレーンで滑った主人公ジョシュがわざわざ上まで登って警告に来てくれたというのに、「お前、頭おかしいじゃね?病院いけよ」と滑り出すとは何事か。この時のジョシュは“血まみれ”である。異変に気付けよ!

三人一組のレースだったせいで巻き添えを食った被害者と自分から突っ込んでいった阿呆は除くとして、犯人の狙いはちゃんと分かるようになっている。しかし、ジョシュがキム(ラニサ・ドーン)と交わる姿を盗撮・拡散したのには何の意味があったのだろう。……観客サービスか。おっぱいについての描写の中では、高校生とは思えぬ透け乳首の連続やパーティーでの露出よりも、アリスが滑る時に後ろから抱きつかれて変形しているのがよかった。柔らかそう。

アクアスラッシュ(字幕版)

アクアスラッシュ(字幕版)

  • ニコラス・フォンテーヌ
Amazon