オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『WITCH GAME/ウィッチ・ゲーム』

Witches in the Woods, 90min

監督:ジョーダン・パーカー 出演:ハンナ・カスルカ、サシャ・クレメンツ

★★

概要

魔女裁判があった森で遭難する話。

短評

カナダ製のホラー映画。狙い自体は決して悪くなかったと思うのだが、恐らくは演出に難があり、その狙いが全く機能していなかった。ゲーム要素はないものの、邦題がある意味ではネタバレしている通り、魔女よりも人間どうしの疑心暗鬼の方がメインとなっている。ただし、あまりに魔女要素を弱くしすぎたために、いっそのことホラーコメディにした方がよかったのではないかとしか思えない仕上がりになってしまっていた。

あらすじ

スキー場を目指すジル(ハンナ・カスルカ)、アリソン(サシャ・クレメンツ)、ブリー(ハンバリー・ゴンザレス)、デレク、トッド、フィリップ、マディの男女七人。しかし、交通事故による通行止めに遭ってしまい、80kmもの迂回を余儀なくされてしまう。道に詳しいというトッドの提案により、森の中を抜ける近道を使うことにするのだが、その森ではかつて魔女裁判が行われていた。程なくして一行は道に迷い、不可思議な現象が起こりはじめる。

感想

魔女の仕業と思わせておいて実は……という展開なのだが、その“思わせておいて”が全く機能していない。ハメ撮りか盗撮をされてメンヘラになっているアリソンがヘラっている姿を見た他のメンバーが「憑依されてるぅううう!!!」と勝手にビビっているだけで、そこに魔女要素は一切ない。映画のラストでジルが「だって皆が言ってたもん」と言い訳しているように、“集団心理”こそが本作の描きたかったものなのだろうが、これでは流石に一行が阿呆なようにしか見えない。もう少し疑いを抱くに足る現象を起こしてみるか、あるいは集団心理の推移を丁寧に描く必要があったと思う。そうでなければ、「よくこの気まずいメンバーで旅行しようと思ったな……」と呆れる集団による自滅でしかない。

仲良くスキー旅行に行く七人だが、その関係は複雑である。アリソンがヘラった事件には実はデレクも関与しているし、デレクの恋人であるジルはフィリップと浮気している。地味女のジルとアリソンは徒党を組んでイケイケなブリーを「あの子、感じ悪いよねー」と除け者にし、トッドとマディの兄弟だけが比較的まともだった。ただし、迂回を避けて「近道を使おう」と、車が動かなくなった際には真っ先に「俺が助けを呼んでくる」と言い出すような、つまり“ホラー映画的に一番ダメな人”はトッドだった。

ホラーやスリラーとは別の意味合いで人間の嫌な部分が見える映画だった。ジルとアリソンがブリーを邪険にする姿は三十郎氏に同族嫌悪させるし、ジルがクマの死体を積んだトラックを見るなり「罠を使うのは違法なのよ!」と突っかかっていく姿もウザい。なお、彼女はデレクがアリソンを「縛ろう」と言い出した時にも「それは違法よ」と法律を盾にしており、主人公にあるまじき“感情移入を許さぬKY女”であった。他にも、デレクからジルを寝取ったことを指摘されたフィリップは「今はそんな場合じゃない」と、「尻軽」となじられたジルは「あなたって情けない!」と、浮気した側が開き直って被害者バッシングする様子も酷かった。

往生した車の中が寒いものだからと「暖房あげて」と要求するジル。すると当然エンストを起こし、このままでは凍死という状態に陥る。そこでジルがロウソクを取り出して「これで一晩越せる」とドヤるのだが、火があるなら焚き火をするという選択肢はなかったのか。

明らかな低予算映画ではあるものの、動物や人間の死体のクオリティだけは無駄に高かった。