オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『グッド・ネイバー』

The Good Neighbor, 97min

監督:カスラ・ファラハニ 出演:ジェームズ・カーン、ローガン・ミラー

★★★

概要

近所のキモい老人にドッキリを仕掛ける話。

短評

観たことがあるような気もしたが、記録になかったので観てみると、やっぱり観ていなかった(この構図のパッケージ写真が多くはないか)。本作はファウンド・フッテージなのだが、いかにもな“ナメてた相手がヤバかった”的展開を辿るのかと思わせておいて、意外なオチがついている一作である。そのオチと整合性を保つために盛り上がりには欠けるものの、見事に騙されてしまったので、制作者の狙いにまんまとハマってしまったことになるのだろう。

あらすじ

三つのルール──①「物理的な妨害はNG」②「期間は六週間」③「編集・台本なしの客観性重視」──を設定し、“幽霊プロジェクト”を立ち上げたイーサンとショーンの二人。その内容とは、近所に住む気味の悪い老人グレイニーの家に監視カメラと遠隔操作装置を仕掛け、彼が幽霊の存在を信じるように仕向けるというもの。しかし、グレイニーはドッキリに動じる様子を見せず、逆に彼が毎晩向かう地下室に何かがあるのではないかと二人は疑念を抱くようになる。

感想

一応の形式はファウンド・フッテージなのだが、ドアの自動開閉や窓が割れるといったイタズラを受けたグレイニーが過去の記憶を思い出すシーンがあるため、イタズラが切っ掛けとなってグレイニーの奥底に眠っている危険な本性を呼び覚ましてしまう展開なのではないかと思っていた(「アルバート坊や」の条件付の話もミスリードだったか)。バタバタと開閉してうるさい扉を斧を持ち出して破壊する様は異常に映るし、“地下室”なんて存在もいかにも怪しい。おまけにドッキリの仕掛け人は調子に乗ったクソガキなので、この老人がどんな逆襲を披露してくれるのだろうかと楽しみにするわけである。

ところが、スリラー映画的に起こるべき事が一向に起こらず、いたずらに時間が過ぎていく。そして、ようやく家宅侵入したクソガキの前に銃を持ったグレイニーが現れたかと思うと……というオチだった。『ドント・ブリーズ』の亜流映画となることを回避したことによって期待していた楽しみが得られなかったのは残念なのだが、ジェームズ・カーン演じるグレイニーの存在感はなかなかのもので、“それ”を予感させるだけでスリラーを成立させているのは流石である。

クソガキのイタズラが呼び覚ましてしまったグレイニーの記憶とは、彼の亡くなった妻に関するもの。いかにもなスリラー映画と見せかけておいて、意外や悲しい物語なのである。グレイニーはクソガキではなく自分を撃ち殺すが、二人がその責任を十分に取ることはなく終劇となる。判決の後、裁判所の外に出た二人は“被写体”となるのだが、ここで撮られる側に回ることで自分の行為のおぞましさに気付いているわけでもなさそうだったのが本編よりもホラーだったように思う。イーサンのむしろ満足げな表情が、本作の結末をより苦いものにしていた。

イーサンにセックステープを盗撮されそうになったカーリー(ベイリー・ノーブル)、尻軽魔女のアシュリー(リリ・ラインハート)、そしてイーサンの“MILF”な母エリーゼアン・デュデック)をメモしておく。カーリーの裸が見たいのはやまやまだが、倫理的にダメというよりも友人の股間を見たくなくてあの盗撮に対して否定的な三十郎氏は少数派だろうか。