オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『恍惚』

Nathalie..., 105min

監督:アンヌ・フォンテーヌ 出演:ファニー・アルダンエマニュエル・ベアール

★★★

概要

夫の浮気内容を知りたい熟年妻。

短評

クロエ』というタイトルでハリウッドリメイクされたフランス映画。オリジナル版と見比べてみると、同作のエロサス要素がハリウッド的な“分かりやすいエンタメの味付け”であったことがよく分かる。とは言え、本作もいかにもおフランスな難解な一作というわけではなく、女性監督らしく主人公の心の動きを繊細に追った“上品”な作品だったかと思う。ストーリーがそれほど違うわけではないのに、こうも印象が変化するものか。

あらすじ

夫ベルナール(ジェラール・ドパルデュー)の浮気を知ってショックを受けた妻カトリーヌ(ファニー・アルダン)。彼女は娼婦マルレーヌ(エマニュエル・ベアール)を雇って夫を誘惑させ、事の次第を逐次報告させる。「ナタリー」という名で夫に近づいたマルレーヌの語る赤裸々な内容に再びショックを受けるカトリーヌだったが、次第に彼女の心中に変化が現れるようになる。

感想

リメイク版との最も大きな違いは、“回想シーン”がないことだろう。リメイク版ではクロエの語る内容が映像付きだったように記憶しているが、本作では“話”だけである。その話がカトリーヌの心を揺さぶると同時に、彼女に“火を点ける”こととなる。自分の雇った娼婦が夫とヤッた話を聞いて“性的な目覚め”を覚えるというのは、ある意味では寝取られフェチのような感じで面白かった。邦題の「恍惚」は話を聞いている時の彼女の心境からだろう。「パートナーが寝取られているところを見ながらじゃないと勃たない」というジャンルの存在は知っているが、少し形が違うとは言え、男女逆でも成立する性癖なのか。

マルレーヌの話に影響を受けるカトリーヌの姿が物語の中心であるため、クレイジーサイコレズによるサスペンス要素はほとんどないに等しい。同時に、“エロサス”のもう一つの軸であるエロも控えめとなっており、産婦人科医のカトリーヌが患者を触診したり、マルレーヌが店で客と4Pしているシーンでおっぱいが映りはするものの、三十郎氏がカトリーヌのように心動かされるような場面はなかった。上述の4Pも、あくまでノーマルなセックスしか知らなかった退屈な女が刺激的な場面を目撃して“ドキドキ”してしまうという程度のものに留まっている。

物語の面白さではオリジナル版に軍配が上がるものの、おっぱいについてはアマンダ・セイフライドの“斜め後ろ乳”を支持したい。当時アラフォーのエマニュエル・ベアールは、確かに妖艶ではあるものの、“若く美しい娼婦”というセックスレス熟年妻との対比を成す人物としてはほうれい線が目立っていたように思う。また、この頃には既に唇に違和感が出ていた。夫役もリーアム・ニーソンジェラール・ドパルデューでは男性的魅力が大きく異なるため、そこはお相子だったかと思う。

マルレーヌが虚偽の報告をしていたというのは、一応“どんでん返し”的な展開のはずなのだが、『クロエ』を先に観ているためなのかそうだと明確に分かるような描写が確認された。マルレーヌが女友達と遊んだ後、カトリーヌに「今日はこんな事をした」と電話で報告している場面である。カトリーヌも先刻承知でマルレーヌの話を聞きたがったのではないかとも思ったが、夫に対する態度を考えれば違うか。