オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『呪い襲い殺す』

Ouija, 89min

監督:スタイルズ・ホワイト 出演:オリヴィア・クック、アナ・コトー

★★

概要

アメリカ版こっくりさん

短評

雑な邦題が逆に魅力的な気がしてくるホラー映画だが、内容はイマイチだった。続編は割と面白かった記憶があるものの、本作はテンプレ展開に終始するばかりで、阿呆な主人公のせいで周囲が迷惑を被る気の毒な話でだった。“ホラー映画の世界でしてはいけないこと”の筆頭に該当するウィジャボードを使ってから不可思議な現象が起こり始めるというのに、その解決を再びウィジャボードを使うことに求めるという阿呆ぶりである。引くことを覚えろ。

あらすじ

親友デビー(シェリー・ヘニッヒ)の突然の訃報を受けたレイン(オリヴィア・クック)。しかし、デビーが自殺するような兆候を見せていなかったことから、彼女はそれが本当に自殺なのか訝しむ。そこで、恋人トレヴァー、妹サラ(アナ・コトー)、友人イザベル(ビアンカ・サントス )、デビーの恋人ピートの四人と共に、ウィジャボードを利用してデビーとの交信を試みる。

感想

「デビーと交信するならやっぱりデビーの家でなくっちゃね」ということで、“ウィジャ会”の会場は彼女の家に。後に判明する“家の過去”が非常に重要であるため、この会場は絶対に譲れない要素なのだが、部外者が自由に出入りして遊べる家というのは治安上あまりよろしくない。デビーの親が「思い出しちゃうからこの家にはいられない」と言って家を空ける言い訳描写を入れていたものの、出だしからかなりの力技である。

ウィジャ会では「D」と名乗る霊が降臨し、一同はこれを「デビー」と認識……するものの、レイン以外の皆は「レインがデビーに会いたくて無意識で動かしたんでしょ」と冷めた反応を見せている。当たり前である。「ウィジャボードを使えば自殺した親友と会話できる」と本気で考えるような人とはできれば距離を置きたい。にも関わらず、会の夜以降、レイン以外のメンバーを狙って怪現象が襲うようになり、「これはもう一度ウィジャボードをやって解明するしかないぞ」という展開に。

これは自ら死地に向かっていくかのような蛮勇である。どうして一度目でやめておかなかったのか。確かに怪現象は発生したが、命を脅かすようなものではなかったのだから、そこで大人しく「あ、ヤバいな……」と気付いて引き下がっておけばよかったのに。忠告してくれる親切な家政婦までいるのに。やはり重要なのは“自分がホラー映画の登場人物だと認識すること”である。それさえできていれば、そもそもウィジャボードを使うことだってなかっただろう。

二度目のウィジャ会で「D」がデビーではなく「DZ」だと判明。たとえ相手が霊であっても、人の話は途中で遮らずに最後まで聞かねばならない。なお、二度目のウィジャ会の後にイザベル、ピート、トレバーと順に命を落としていき、言い出しっぺで皆を巻き込んだレインは主人公補正で生き残る。三十郎氏はレインを演じるオリヴィア・クックが好きだが、こんな向こう見ずで迷惑な主人公には是非とも死んでいただきたかった。彼女は声が低いこともあって“ふてこい”印象を受け、本作ではなんだかムカついた。

「DZ」こと「ドリス・ザンダー」の姉ポーリーナ役にホラー映画界の大物リン・シェイを召喚し、一波乱あってのエンディング。テンプレ感の目立つ一作ではあったが、家全体が“墓”になっているという展開は面白かった(墓で遊ぶのはルール違反らしい)。これはたとえ悪霊なしであっても住みたくない。地下空間で発見されたミイラのクオリティはなかなか良かったと思うが、ミイラが口の縫合を解かれると霊の方が「きぃやぁああああ!!!!」と咆哮する描写は笑った。それにしても、住んでいるくせにあんな広い空間に気付かないものなのか。不動産屋は告知義務違反である。