オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『エンド・オブ・ステイツ』

Angel Has Fallen, 120min

監督:リック・ローマン・ウォー 出演:ジェラルド・バトラーモーガン・フリーマン

★★★

概要

逃亡者マイク・バニング

短評

ガバガバアクション映画シリーズの三作目。アメリカ、韓国、イギリスが無能を晒してきたので、そろそろ同盟国日本にも本領を発揮してほしいところだったが、残念ながら出番なしである。本作はアメリカに舞台を戻すと同時にこれまでとは趣向の異なるストーリーを採用しており、ガバガバポイントにツッコんでいるだけで映画が終わるようなことはなかった。だいぶ真っ当な映画になった印象ではあるものの、既視感たっぷりの展開は黒幕の存在を隠そうともしていないし、全く頭を使うことなく楽しめるアクション映画という点は同じである。

あらすじ

シークレットサービスのマイク(ジェラルド・バトラー)は、アッシャーの後を継いだ新大統領トランブル(モーガン・フリーマン)とも良好な関係を築いていたが、肉体的・精神的な限界を迎えようとしていた。ある日、大統領の趣味である釣りの警備中にマイクが目眩を起こして同僚と交代したその瞬間、ドローン部隊が大統領を急襲する。幸いマイクと大統領は一命を取り留めたものの、マイクが昏睡から目を覚ますと、大統領以外の唯一の生存者であった彼は容疑者扱いを受けてしまうのだった。

感想

映画の序盤でトランブルに「民間軍事会社が問題」と言わせ、その民間軍事会社の経営者でありマイクの元同僚でもあるウェイドを悪人面のダニー・ヒューストンが演じている。こいつが悪いのは早い段階で正体を表す前から分かりきっているため、彼を雇った黒幕こそが重要となるのだが、わざわざ機械音声まで使っている割に正体を隠す気が毛頭感じられず、「今回の話はこういう構図なのね」というのはすぐに分かる。“大統領を救出する”や“襲撃をかわして生き延びる”といった前作まで分かりやすさとは異なり、“陰謀”という要素を用いているのが本作の特徴なのだが、あえて物語を引っ張る“謎”を捨て去るという大胆さなのであった。「全員無能」をキャッチフレーズにできそうな阿呆映画ではなくなったものの、ガバガバ精神はちゃんと引き継がれている。

前作まではとにかく警備体制の不備が目立った襲撃シーンだが、本作はまともだったように思う。休暇中に釣りを楽しむ大統領をドローン部隊が襲撃するというのは、割とありえそうな事態だと思うのだが、現場レベルではどのような運用が成されているのだろうか。「ドローン」と「AI」の組み合わせというのはゲームチェンジャー的な怖さがあると思うのだが、ジャミング等で対応できるのだろうか。専門的な見地からどうなのかは知らないが、少なくも「怪しい奴を要職に雇う前に弾け」とド素人からツッコまれるようなことはない。

ただし、“怪しい奴が要職に就く”という要素はしっかりと踏襲されている。副大統領カービーは、大統領代理の職に就くなりトランブルが否定していた民間軍事会社を積極的活用する方針を打ち出すため、こいつが黒幕であることは火を見るよりも明らかである。彼が“電話の向こうの男”として姿を見せた瞬間の意外性のなさは、「どうして一応隠してみようと思ったのか」と制作者に問い質したくなるレベルだった。逃亡者マイクの物語は、目覚めた大統領の「マイクは味方」という鶴の一声で終わりを迎え、カービーはウェイドが保険として残した資料が証拠となって逮捕される。大統領は「私は陰謀とは関係ない被害者です」みたいな顔をしていたが、あんたにだって任命責任はあるだろうに。アッシャーはホワイトハウス陥落時の無能ぶりがバレて再選できなかったのか。それならどうして同じ党のトランブルなのかという疑問が浮かぶが、案外あの時の詳細を漏らさないことと引き換えに“禅譲”を迫る政治的駆け引きがあったのかもしれない。

ホワイトハウスやロンドンが陥落するという分かりやすい派手さがなくなった分だけアクションがスケールダウンした感は否めなかった。ただし、クライマックスの病院での銃撃戦を中心に迫力はあったし、“拳銃の一対一”というスタイルも楽しかった。

物語の構成が一変したと思ったら、脚本家が変わったらしい。ついでにマイクの妻リアの演者がラダ・ミッチェルからパイパー・ペラーボへと交替している。なお、“申し訳程度の背景描写”という役どころについては全く変化がないため、もっと顔が全然似ていない人に代わっても大して違和感はなかったと思う。