オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『パンデミック・サイト』

Antisocial, 90min

監督:コディ・キャラハン 出演:ミッシェル・マイレット、コディ・レイ・トンプソン

★★

概要

SNS経由感染。

短評

カナダ製のホラー映画。かなり直球な風刺ネタ自体は悪くなかったかと思うが、“ホラー”としてはまるで怖くなく、ごちゃごちゃしたいかにもなB級映画だった。「SNS」の性質を利用したいくつかの描写に光るものはあったものの、それはあくまで隠喩として優れているというだけであり、恐怖に結びついてはいない。また、結末も別の展開にした方が映画のテーマと整合性が取れたのではないかと思う。

あらすじ

晦日なのにSNS“レッドルーム”のビデオ通話で恋人にフラれてしまったサム(ミッシェル・マイレット)は、友人マークたちのパーティーに参加する。テレビではSNS上の中傷が原因で自殺したり暴行に走るといった事件が世界中で発生していると報道され、サムの通う大学の寮でも異変が起きていると友人から連絡が入る。世界が原因不明の混乱に陥る中、出入り口を閉じて隔離していたはずのパーティー参加者にも遂に症状が現れる。

感想

「感染」や「凶暴化」というキーワードがゾンビ映画っぽいが、人から人への感染は発生しないため、別ジャンルと考えてよいだろう。主人公たちの「感染りそうだから近づくな」という“然るべき措置”が全く意味を成していないという点は、なかなか滑稽で面白かった。映画の終盤に種明かしされるのだが、実はレッドルームには“SNSをもっと利用したくなるサブリミナル効果”が組み込まれており、そのアップデート時に機能が暴走してしまったことが事件の原因である。あまりに陰謀論的な気がしないでもないが、少なくとも“中毒性を高める効果”という点では説得力がある。「見たら感染」という設定については、それなりに整合性があったように思う。

感染の初期症状は鼻血を流すというベーシックなものなのだが、本人の主観の方が面白い。「幻覚」というこれまたテンプレ描写ではあるものの、顔の見えない無数の人物に囁きかけられ、自己が崩壊していくという流れは、SNSの悪い側面を上手く捉えているように感じられた。感染者どうしが共鳴するという設定も上手い。

恋人にフラれてムカついたのでスマホからアプリを削除していたサムだが、PCで見てしまい、結局パーティーの参加者は全員感染することとなる。困ったサムは“電動ドリルで頭に穴を開けて腫瘍を除去する”という治療法を発見し、実際に試すという超展開を迎えるのだが、これが成功してしまう結末は明らかに失敗だった。SNSを批判するのであれば、同時に“出所不明のネット上の情報”なんていう怪しいものを頼れば痛い目に遭って然るべきなのに、成功させてどうする。苦渋の決断をした末に、それが裏目に出るというバッドエンドこそが本作には相応しかっただろう。

「話したいことがあるの……」と恋人ダンに告げると、「ああ、別れたいんだろ。いいよいいよ」と雑に返されるサム。実は彼女は妊娠の事実を告げたかったのだが、そうとは知らずに“恋人と別れたばかりの女は落としやすい”のムーブを決めるマーク。そのマークに対してサムが「あなたは私の全てよ」と言い出したりして、なんとも動きの激しい男女関係だった。“付き合う前から托卵”というスーパーNTRにマークが耐えられるのか気になったが、彼は付き合う前に死ぬ。

本作には『最終感染~アンチソーシャル(Antisocial 2)』という2015年に公開された続編があるのだとか。主演が同じ人のようなので、焼き直しではなくちゃんと続編なのか。ちなみに、同じ2015年に『Anti-Social』というイギリス映画が公開されており、メーガン・マークル(なんと敬称をつけるの正しいのか)が出演している。本作とは何の関係もない。ああ、ネットには無駄な情報が溢れている。

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