オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ブルース・リー 死亡の塔』

死亡塔(The Tower Of Death/Game of Death Ⅱ), 96min

監督:ウー・シーユェン 出演:ブルース・リー、タン・ロン

★★★

概要

兄の敵を討つ弟。

短評

ブルース・リーの未公開映像が“三分間”程度使用されているという一作。“ブルース・リーの映画”という枠組みであれば、紛れもないクソゴミである。しかし、「どんなクソ映画なのだろう」という地下に埋もれたハードルを構えていた身からすると、これが意外に悪くはなく、リーとタン・ロンの役柄が逆であればそこそこ面白い映画になったのではないかという気のする一作だった。リーの勇姿が見られるという点では『死亡遊戯』の方が遥かにマシだが、リーの登場シーンを除いた点については本作の方がマシという謎である。

あらすじ

ビリー・ロー(ブルース・リー他)の元に親友チン・クーの訃報が届く。葬儀に参列するため日本に向かったビリーは彼の死に不審なものを感じるも、埋葬中に現れた棺泥棒を追っている最中に命を落としてしまう。兄の訃報を受けた弟ボビー・ロー(タン・ロン)は復讐を誓って日本に向かい、“死の宮殿”へと辿り着く。

感想

死亡遊戯』は「リーが最後に遺した映像を利用して何とか映画を形にしよう」という意気込みが一応は伝わってきたが、本作にそんなものはない。はっきり言って無理矢理もいいところである。ビリーによるアクションシーンも『死亡遊戯』でお蔵入りした代役によるものだし、“どうしても使っておきたかった生前の映像”が出てくることはない。そこにあるのは、ただ「彼の死後もその名声を利用して一儲けしたい」という邪悪な願望だけである。リーの若い頃や実際の葬儀の映像が出てくる点は興味深いものの、それらは“アクション映画”ではなく“ドキュメンタリー映画”でじっくりと見せてほしかったような気がする。

というわけで、リーのファンとしては本作を全力で否定して然るべきではあるのだが、「どうせクソ映画だろう」という前提ありきであれば、意外に楽しめなくはない。確かに紛れもないクソ映画なのだろうが、“作品の価値”とは別のところで、あくまでB級アクション映画としてはそこそこの出来である。代役の浮いた感じは同程度に酷いものの、『死亡遊戯』にはどうしても“遺作”というイメージがつきまとうのに対し、本作はある程度無視することができるのが逆に強みなのだろう。

ヘリコプターが棺を奪いに現れるという大胆すぎる展開、そして、飛び立つヘリにしがみついて落下するという残念すぎるビリーの死に方。故人に対して酷い侮辱だとは思うものの、正直に言って笑った。問題児だったはずの弟が修業を経ずして敵に立ち向かうという雑さ、その“問題”の一つであるジョニーに屈しかけるという展開。バカすぎてなんだか逆に嫌いになれない。“容疑者”の一人であるルイスが朝食に鹿の生肉と血を食していたのも、一体どういうイメージなのかは分からないが笑った。

アクションシーンについても本人のものが登場しないことで“比較”せずに済むため、そこまでのガッカリ感はなかった。むしろよく頑張っていたと思う。ただし、“振り付けっぽさ”があることは否めず、それを極力抑えて“戦い”を演じてみせたことがリーの魅力だったのだと改めて感じた。

ビリーがクーの娘メイに会った際、「俺はビリー・ローだ(アイ・アム・リー・チェンチェン)」と自己紹介していた。彼女が働く銀座の怪しげなクラブから出た後、戦闘シーンになると明らかなセットになって笑えるのだが、看板の日本語は意外にちゃんと日本語だった。