オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ブルース・リー 死亡遊戯』

死亡遊戯(Game of Death), 100min

監督:ロバート・クロウズ 出演:ブルース・リー、コリーン・キャンプ

★★

概要

アクション映画スターvs国際犯罪組織。

短評

ブルース・リーの遺作とされている一作だが(実は他に未使用フィルムを使った作品が二つある)、これを“遺作”と呼ぶのはいかがなものかと思われる程に本人の出演シーンは少ない。彼が本作で披露した黄色いトラックスーツ姿は非常にアイコニックなものとなっているが、そのせいで本作が“代表作”のようなイメージを持たれるのは流石に違和感がある。クライマックスの対決を先に撮影し終えたところでリーが亡くなり、脚本も出来上がっていない状態から映画の完成にこぎ着けたことには感心するが、“そっくりさん”は外見も動きも本人には似ても似つかず、“最後の演技”を見られるという以外の部分は残念な一作である。

あらすじ

ドクター率いる国際犯罪組織は、映画スターやスポーツ選手に対して無理やり契約を迫っていた。アクションスターのビリー・ロー(ブルース・リー他)や彼の恋人の歌手アン(コリーン・キャンプ)もまた契約を迫られていたが、ビリーはこれを拒否。しかし、それが原因でビリーは命を狙われてしまう。一命を取り留めたビリーは自身の死を偽装し、犯罪組織に対して戦いを挑む。

感想

ブルース・リー本人が出演しているのは、本当に最後の“三連戦”のシーンだけである。それ以外は過去の出演作の映像を流用しているだけなので、“出演している”とは言い難い。また、彼の死後に撮影した映像と上手く組み合わせられているならまだしも、流用であることが誰の目にも明らかという残念さ。演者が似ていないのはどうしようもないとして、明らかに“別シーン”である。加えて、フィルムやカメラも異なるのか、同じシーンであっても映像の質感まで全く違う。もの凄く浮いている。

結果は残念なものとなったが、この方式で少しでも多く本人映像を使うため、ビリーを『ドラゴンへの道』と『ドラゴン怒りの鉄拳』の撮影に参加させるという発想は面白かったと思う(リーが生きていたらこの展開になることは決してなかっただろう)。他作品にも見られた“変装”という要素も使っており、なんとか“リーらしい映画”にしようという気持ちは伝わってきた。

ユン・ワー、ユン、ピョウ、タン・ロンらが演じたという“ブルース・リー役”。当時の香港映画界にハリウッドのような強い組合があったならば、リーではなく彼らこそが“主演”にクレジットされていたことだろう。誰がどのシーンを演じているのかは分からないが、後ろ姿を中心に写し、サングラスを着用させ、襲撃の影響で顔が変わったという設定までをも用意しても、彼らがリーでないことがどうしても気になってしまう。映画は『ドラゴンへの道』の“オフショット”から始まるのだが、その背中の何と小さいことか。彼らも鍛えているのだろうが、リーの逞しい広背筋にはまるで及ばないのだった。

代役たちのアクションシーンについても、やはりどこか“キレ”が足りないように感じられた。「やっぱり本人が出てないとなあ……」と残念に思っていると、最後の最後にようやく本人が登場して溜飲を下げてくれる。やはり本人の動きは違う。代役たちが物足りなさを感じさせたのは、本人の演技を引き立てるためにわざとダメに演じたのではないかと思わせられるくらいに違う。ステップワークの時点から明らかな違いを感じさせる。一人、二人と簡単に始末し、遂に訪れる巨人ハキム戦。彼が体の大きさの割には軽快な動きを披露し、ビリーも苦戦するのだが、“間合い”を見切ると一方的に攻め立てる。この戦いの構成まで含め、他とは明らかに違う輝きを放っていた。それなのに再び“偽物”が登場し、最後は敵が自滅するだけの展開は酷い。

(本当はどんなつもりで使用したのかは分からないが)黄色いトラックスーツは、ビリーが刺客から奪って着ているものである。この時、バイクを使用したスタントがあるのだが、リーにもこうした“純肉体”以外のアクションをする気はあったのだろうか。

ビリーの恋人アンが美人である。しかもおっぱいも大きい。アン役のコリーン・キャンプは『地獄の黙示録』でプレイメイトの一人を演じている。あのおっぱいの持ち主であったか!