オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ブレイク・タウン』

Disturbing the Peace, 91min

監督:ヨーク・アレック・シャクルトン 出演:ガイ・ピアース、デヴォン・サワ

概要

田舎保安官vs強盗団。

短評

『ブレイク・“ダ”ウン』ではなく『ブレイク・“タ”ウン』である。陳腐なストーリーと演出に、まるで素人のようなぎこちない演技。その中で険しい顔をしたガイ・ピアースが滑らかな台詞回しを披露しているものだから、彼一人だけが完全に浮いてしまっている。ガイ・ピアースではなくサメでも出てくれば丁度いい具合になるのではないかと思えるような、格闘も銃撃戦も盛り上がらず、(登場人物が阿呆揃いで)緊張感もない、およそ見どころのない一作だった。

あらすじ

10年前のテキサスレンジャー時代、犯人に人質に取られた相棒を射ってしまったジム(ガイ・ピアース)。連邦保安官に鞍替えした彼に寝たきりとなっていた相棒の訃報が届いた翌日、彼の守る田舎町にガラの悪いバイク乗りが現れる。食堂で騒ぎを起こした一人を逮捕し、部下のマットが州の拘置所へと移送するが、それは罠だった。間もなくして町はディアブロ率いる強盗団に占拠され、ジムは孤立無援の戦いを挑むことになる。

感想

マチュアによる自主制作映画のような雰囲気の一作に有名俳優ガイ・ピアースが紛れ込んでいて違和感しかない。もしやこれは監督がどこぞの金持ちで、自身の“趣味”として映画を撮ってみたかっただけなのではないかとすら思えてくるのだが、監督のヨーク・アレック・シャクルトンは、次作で二桁に到達する監督キャリアの持ち主のようである。

しかし、彼のフィルモグラフィーを眺めていると、そこには見覚えのあるタイトルが一つ。『コード211』──ニコラス・ケイジ主演のクソ映画である。全てが腑に落ちた。映画全体に占める銃撃シーンの比率の割に迫力がないこと。登場人物の行動が場当たり的なものに終始すること。そして、爆発シーンだけは謎の気合いが入っていること。犯人の動機が「取り分を回収する」というものであるところまで同作とそっくりそのまま同じである。状況設定は非常にシンプル、主演にはスター俳優を迎え、“普通のB級アクション映画”になるポテンシャルは秘めている素材である。それをとんでもなく退屈に仕上げてしまうのが、この“ヨーク・アレック・シャクルトン”という監督なのだろう。駄作製造機として注意すべく是非とも名前を覚えておくべきである。

「炭鉱が閉鎖された後、親父がアル中になって死んだから町を恨んでる」と故郷を襲撃しに戻ってきたディアブロ。彼は自身の“取り分”を主張していたが、そんなものはない。てっきりジムの過去と繋がりがあるのかと思っていたので、「親父が~」の話が出てきた時は完全に拍子抜けである。逆恨みでしかない。通信網を遮断し、町を占拠したところまではよかったが、現金輸送車を襲撃した後に「目撃者の住民は全員始末するか」と余計なことを言い出して墓穴を掘るディアブロ。ご自慢のバイクのエンジンが掛からずに焦り、走って逃げざるを得ないのに現金入りのバッグを手放さず、最後はバイクと馬の対決で馬に負ける。文章にすると滑稽で面白いような気もするが、本当につまらない。

食堂のウェイトレスなのか店主なのか分からないケイティがヒロインなのだが、彼女の見た目が逞しすぎて、ジムが必要ないのではないかとすら思えた。なお、敵側の女との一騎打ちはスピード感に欠ける間抜けなものだった(リアルと言えばリアル)。