オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ディープ・シャーク』

Shark Zone, 91min

監督:ダニー・ラーナー 出演:ディーン・コクラン、アラン・オースティン

★★

概要

沈没船の秘宝とサメ。

短評

『シャーク・イン・ベニス』と同じダニー・ラーナー監督のサメ映画。この監督は三十郎氏の確認できる限りでは計三作のサメ映画を撮っているようなのだが、明らかにサメに興味がないらしいことだけは分かった。本作の方が先に制作されてはいるものの、同作との恐るべき類似性が確認された。サメの描写は記録映像任せ、その役割は主人公の行動の妨害に限定、そしてメインは宝探しとそれを狙うマフィアとの対決。本作にはサメ映画の超テンプレ展開も見られるが、それも決してオマージュではなく、展開を考えるのが面倒でそのままパクったというレベルである。唯一評価できる点はおっぱいが見られることだけか。

あらすじ

10年前にサメから客を守って死んだ父のトラウマを抱えながら、現在はビーチの保安責任者として働いているジミー。彼は必死にサメの危険性を説くものの、経済を優先する市長は相手にせず、サメの群れに襲われる危険性のあるビーチでのフェスティバル開催を断行する。

感想

『ベニス・イン・シャーク』と同じく気合の入れ方が間違っている一作ではあるのだが、もはやツッコむ気力も湧かない程度には凡庸で退屈な映画である。映画冒頭、1700年代に船が沈没する光景をわざわざ撮った辺りはダニー・ラーナーらしくて少しだけ笑えたが、その後は“主人公の注意を聞かなかったためにビーチがサメに襲われる”というテンプレ中のテンプレ展開。そこにお得意の“マフィアと宝”をくっつけてみたものの、完全に無理やりである。恐らくは全体の十分の一も真面目に見ていなくても、どんな映画だったのかを理解できるのではないかと思う。

これでもかと言わんばかりの記録映像連発に加え、どアップばかりで何が起きているのかさっぱり分からないゴチャゴチャした襲撃シーン。微動だにせぬ模型のサメが人に噛み付いているというお笑い演習もある。真面目にサメを見せようという気がないことは明々白々であるものの、『シャーク・イン・ベニス』でブルガリアヴェネチアに見せかけたように、監督の卓越した“誤魔化し技術”が感じられる場面があった。フェスティバルの開催前にサメを駆除するため、自分ではなく仲間をシャークケージに入れるジミー。ここでケージを襲うサメの記録映像が挿入されるのだが、記録映像に登場する人物と演者の衣装を揃えることで、ちゃんと映画のために撮影したかのように見せかけているのである。もし本当に撮影していたのならごめんなさい。

本作はまるで面白みに欠ける一作ではあるものの、たとえば『デビルシャーク』のような奇作と比べると、ずっと“まともな”映画であると思う。同作を観た際には史上最低レベルの意味不明な一作でしかないと感じたものだが、“意味不明”であること自体がサメ映画としては独創的価値を有しているような気がして、本作よりもマシだったのではないかと思えてきた。しかし、改めて同作を観ればきっと「くそつまらん!」と一蹴するだろうし、ここに来て三十郎氏は再びサメ映画というものが分からなくなってきた。