オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『海底47m 古代マヤの死の迷宮』

47 Meters Down: Uncaged, 89min

監督:ヨハネス・ロバーツ 出演:ソフィー・ネリッセ、コリーヌ・フォックス

★★★

概要

女子高生と海底遺跡とサメ。

短評

海底47m』とは物語上の関係がない正式な続編。同作を観た当時は動きの少ないソリッド・シチュエーション・スリラーが退屈に感じられたものの、今となっては“真っ当なサメ映画”であるというだけで十分な気がしている(更に地味でサメも出てこない『サイレント・ウォーター』でも楽しめたのだから)。その続編となる本作は、前作から一転してかなり“欲張って”おり、「阿呆」と「真面目」の中間くらいの印象だった。荒唐無稽路線でないだけにツッコミどころが喜びではなく不満となるが、それなりに楽しめる一作ではあった。

あらすじ

いじめられっ子の陰キャJKミア(ソフィー・ネリッセ)が腹違いの姉サーシャ(コリーヌ・フォックス)と“ガラス底船サメ見学ツアー”に参加しようとしていたところ、そこにはいじめっ子キャサリンブレック・バッシンジャー)の姿があった。そこで、ツアーの参加を取り止め、サーシャの友人ニコール(システィーン・スタローン)、アレクサ(ブリアンヌ・チュー)と共にラグーンに遊びに行くことに。ラグーンは古代マヤ文明海底遺跡へと繋がっており、四人は潜って遺跡を見に行くのだが……。

感想

サメが出てこなくても成立しそうな冒険映画になっているものの、サメが出てこなくては寂しい。やはり夏と言えばサメである。また、その無理矢理感すらも「マヤ文明」の必然性の欠如と役立ってなさに比べればずっとマシである。マヤ文明どころか「遺跡」の設定すらも必要だったのか怪しいところだが、兎にも角にも海底遺跡の中で独自の進化を遂げた“盲目のサメ”が出てくる。人間を襲うようなサメが他に捕食対象のいない遺跡内で生き延びてきた事情は不明だが、とにかく出てくる。

サメが本格的に出てくる前にちびサメにビビった女が遺跡の柱を倒してしまい(ちびサメが「ワーッ!」と驚かせる演出は安っぽいが、盲目サメの出現は舞台の暗さが活きていた)、四人は別の入口を探すことになる。“脱出”と“サメ”の二本立て路線である。サメが出てきてくれたおかげで有耶無耶にすることができたが、出てこなければ文化財の破壊者として相当な批難を受けたことだろう。JKたちはサメを恐れてキャーキャー騒いでいたが、むしろサメに感謝すべきである。ちなみに、遺跡内の作業者が水中スピーカーをガンガンに鳴らしていたが、これも無駄な振動が発生して悪影響だったりはしないのだろうか。

なんとか先へと進み、もう一方の出口でミアの父グラントと合流したJKたち。あとは“アッセンダー”なるクライミング用品を使って上陸するだけだったが、追ってきたサメの出現にビビったニコールが既に登っている途中のアレクサを押しのける戦犯ムーブを発動。この時、彼女は用具を使うことなく己の握力と筋力を頼りによじ登っていくのだが、これって実はかなりの体力が必要なのではないか。水着姿になった時の引き締まった腹が素敵だと感じたニコールだが、彼女がスタローンの娘だと知って納得した。

頼みのアッセンダーを失うも、「戻るしかないけど大丈夫。皆で力を合わせよう!」とJKたちに語り掛けるグラント。しかし、御存知の通り、サメも人間も話の長い男は嫌いである。サメ映画において演説をぶつ男は死ぬ。もしサメに出くわしかねない状況ならば、決して長話をしてはいけない。ただし、フィン・シェパードくらいサメ退治に自信がある場合は除くものとする。

頼みの父を失うも、『M:I/ローグ・ネイション』のデータセンターみたいな急流に耐えて先に進むJKたち。ここで完全に死んだ感じの女が生きていたことは我慢するとして、その後のクライマックスで見せるJKの生命力の高さはガッカリだった。サメが弱すぎる。ツアーの参加客にとっては最高にトラウマな見せ物になってよかっただろうに。どうしてここでも前作の逆をやってしまうのか(潜水病等の設定も捨てている)。EDロールの最後に「サメが人を殺すよりも、人がサメを殺しています」と言い訳していたが、そんなまともなこと言う奴がサメ映画を作るなよ。

ミアとサーシャは共に危機を乗り越えて絆を深めただろうが、果たして、実父を亡くして“継母とその娘”だけが残された家庭の居心地はミアにとってどうなのだろう。

本作のサメは海底で盲目化という独自の進化を遂げていた。日本でも東京湾で独自の進化を遂げたウンコサメがトライアスロンの選手を襲うサメ映画を作ってみてはどうだろう。少なくとも炎上マーケティングには成功すると思う。