オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『サウンド・オブ・サンダー』

A Sound of Thunder, 101min

監督:ピーター・ハイアムズ 出演:エドワード・バーンズキャサリン・マコーマック

★★

概要

恐竜狩りツアーで地球の歴史が変わる話。

短評

レイ・ブラッドベリの短編小説『雷のような音』が原作の“大作風B級SF映画”。ストーリーは可も不可もないシンプルなものであるため、いかに映像の迫力で魅せるのかに全てが懸かっているタイプの一作なのだが、CGがとにかくショボい。「ショボい」という言葉以外に何も感想が浮かんでこないくらいにショボい。そこまで古い作品というわけでもないし、「これはコメディでなければ成り立たないよなあ……」と思っていたら、Wikipediaにはなんと「製作費8000万ドル」という俄には信じ難い文字列が。アレか?最近流行りの中抜きか?

あらすじ

2055年、人類はタイムトラベルの技術を完成させ、“タイム・サファリ社”は富裕層向けに白亜紀の恐竜狩りツアーを催行していた。ツアーは「TAMI」というシステムによって歴史に干渉しないようにリスク管理が成されていたが、その開発者であるソニア博士は危険性を指摘。しかし、銭ゲバ経営者ハットン(ベン・キングズレー)は忠告を無視してツアーを続け、遂に恐れていた事が起こる。

感想

ツアーの参加者が過去から「1.3グラムの何か」を持って帰ってきてしまったらしく、その影響で現代(2055年)の世界を“時間の津波”が襲いはじめる。津波が来る度に世界は破滅へと一歩ずつ近づいていくわけだが、この理屈はよく分からなかった。「過去を変えたことによって未来が変わる」というのが“バタフライ効果”的な話であれば、変えた時点の小さな変化が徐々に大きなものへと膨らみ、現代に辿り着く頃には既に改変後の世界が完成していないのだろうか(そもそも“問題ない程度の干渉”というのも無理な話である)。

どうして主人公の元いた時間地点だけがピンポイントで改変の影響を受けるのだろう。パラレルワールドが徐々に統合されていくイメージなのだろうか。それにしても、わざわざ津波という“段階”を踏んで現代人に余裕を与えてくれるとは、随分と親切な改変世界さんである。加えて、そもそも改変がなければ主人公の行動だってないわけで、タイムパラドックス的にどうなのかという気もする。

持って帰ってしまった「1.3グラムの何か」を究明し、恐竜的な皮膚を持つマントヒヒに支配された世界を元に戻そうとするライヤー博士。謎怪物や謎植物が跋扈する世界は“破滅”のイメージとして分かりやすいものの、知的生命体の繁栄を経ずして、現代の建物が残っているのはおかしくないか。なお、謎生物との死闘の末に解明した「1.3グラムの何か」だが、その解決方法を見る限り、ツアーの催行前の時点に飛んで中止を申し渡していれば、わざわざ調べるまでもなかったような気がする。

“大作風”を装ってシリアス風味な割に大味&ご都合主義が極まったストーリー上のツッコミどころはともかくとして、本作の真の問題は映像である。時空改変が始まる前、“近未来”の風景がスクリーンプロセスもかくやの“合成バレバレ”という時点で嫌な予感しかしなかったが、いざ登場するクリーチャーたちの姿はPS2のゲームくらいのクオリティで、とてもじゃないが集中して観ていられるレベルではなかった。とにかくショボい。これに尽きる。どうして2005年に8000万ドルも費やしてこんな惨憺たる有様になったかと言うと、色々と事情があるようだが、これは同情すらもできない水準だった。