オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『リボルバー』

Revolver, 114min

監督:ガイ・リッチー 出演:ジェイソン・ステイサムレイ・リオッタ

★★

概要

余命三日の元受刑者による復讐。

短評

(似合わない)ふさふさロン毛のステイサムが出演している犯罪ミステリー。『スウェプト・アウェイ』は(気の毒なので)例外扱いするとして、ガイ・リッチーのキャリアでは間違いなくワーストだろう。やたらめったらと話を捏ねくり回し、とにかく難解にしてみた挙げ句、“いつもの種明かし”による爽快さすら味あわせてくれないという難儀な代物である。特に盛り上がる場面があるでもなく、ただただ頭に「???」を残していく。その中でも最大の「?」は、やはり「どうしてステイサムの最大の魅力を封印してしまったのか」だろう。

あらすじ

七年の刑期を終え、復讐心を胸に出所したジェイク(ジェイソン・ステイサム)。それから二年後、彼は敵であるマカ(レイ・リオッタ)にギャンブルで勝負を挑んで大金を手にするが、余命三日の奇病に冒されていることが判明する。加えて、マカの手下ソーター(マーク・ストロング)の襲撃を受けるも、謎の二人組が現れて彼を救う。二人組は、全財産と引き換えにジェイクをマカから守ってくれると言うのだが……。

感想

「ゲームには仕掛ける者とカモがいる」「俺は前者になるぞ」と度々ジェイクが口にするので、“実は後者”なのだろう、と(あるいは前者として観客に伝えていない情報が最後に出てくる)。彼の独房時代には両隣の部屋にチェスとペテンの天才がいたと言うので、“二人組はそいつら”なのだろう(ついでに“仕掛け人”なのだろう)、と。そんなことを考えながら観ていたものの、結局、どういうことなのかよく分からなかった。

前半は話がまるで動かず、全体像がまるで見えないのに、「こいつは怪しいな」とオチだけを予測させられる謎の退屈さが続く。その後、ジェイクの復讐計画が動き出し、“妄想オチ”で一度は全ての辻褄が合ったかに思われたが、その後にエピローグと呼ぶには長すぎる展開が続く。やはり「???」である。虚実入り乱れている(ように思わせられる)ので脈略がなくて当然なのかもしれないが、そもそも三日後に死ぬ予定の男が全財産を費やして護衛を雇う意味も、高利貸しの仕事を手伝う意味も分からないし、“その時に何をしているのか”すらついていけない散見される。

三十郎氏の読解力が低いことは認めるものの、これは明らかに話の整理に失敗している。だって監督がガイ・リッチーである。いつも最後に「実はこうでしたー!」という種明かしを過剰なまでに強調してドヤる男である。そのガイ・リッチーが「どうだ!分かんねーだろ!」と言わんばかりの“いつもの逆”を行ったのは、当時の妻にキャリアを潰されかけて精神的に参り、迷走していたとしか思えない。本作の「黒幕」の概念をマドンナに重ねてみると自己言及的で面白い気がしなくもないのだが、それは映画の面白さとは別である。

「一体何だったんだ……」と呆気にとられていると、“EDロールが流れず音楽だけが流れる”という奇抜な演出が最後に行われる。もうこれが自分の作品だと認めることすら嫌だったのではないか。あまりにもガイ・リッチーらしくない一作だった。

「らしくない」と言えば、やはりステイサムの頭である。ロン毛である。他作品でも髪のある姿を披露することはあるが、それはあくまで“一時的”なもの。それだって“生やしてもスカスカ”なのだが、本作では“特殊メイク”なのかびっしりと生えている。トレードマークとも言えるセクシーなハゲ頭を封印してしまうとは何事か。ステイサムにとっては、自身を映画デビューさせてくれた監督ガイ・リッチーと、アクション俳優としての新境地を切り開いてくれた監督リュック・ベッソン(本作のプロデューサー)のコンビによる一作だったわけだが、本作(の髪型)は失敗だったと感じたのか、その後のリッチー作品からは離れている。二人が久々にタッグを組んだ『ラース・オブ・マン』はどのような仕上がりだろう。今度はちゃんとハゲている。

「セクシーなハゲ頭が特徴の俳優」と言えば、本作にはマーク・ストロングも出演している。そして、彼も“生えている”。しかもそれが“波平さん”的な酷い髪型で、頭頂部のアレがベタッと頭皮にくっついている。ガイ・リッチーは何かハゲに恨みでもあるのか。

リボルバー(字幕版)

リボルバー(字幕版)

  • ジェイスン・ステイサム
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