オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ザ・ボーイ ~残虐人形遊戯~』

Brahms: The Boy II, 86min

監督:ウィリアム・ブレント・ベル 出演:ケイティ・ホームズ、オウェイン・イオマン

★★

概要

ブラームス、再び。

短評

ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を観て「シリーズものの続編を観る時はちゃんと復讐した方がいい」と学んだばかりなのだが、前作『ザ・ボーイ ~人形少年の館~』に対しては「復習するほどの価値はない」という印象しかなかった。全く怖くないが思わず笑わずにはいられない終盤の展開だけが魅力だった前作と同じく、三十郎氏の予想を裏切る“意外性”ある展開が用意されてはいたものの、予想が外れたという以外には何も面白い点がなかった。それも前作唯一の魅力を毀損してしまってはダメだろう。

あらすじ

夫ショーンの不在中に強盗に襲われ、心に傷を負ったライザ(ケイティ・ホームズ)とジュードの母子。ショックで喋れなくなってしまった息子と引き籠もりがちになった妻を心配した夫の勧めにより、一家はしばらく都会の喧騒を離れて暮らすことに決める。新居の周囲の森の中を散策していると、ジュードが土に埋められていた人形“ブラームス”を発見。夫妻は人形のことを気味悪がりつつも息子が感情を取り戻す様子を見せるので喜んでいたが、ジュードは次第にその人形に魅入られていく。

感想

前作のラストは次のようなものだった。人形が“悪霊タイプ”なのかと思いきや“本体”の方が壁の中に住んでいて、主人公が退治する。しかし、実は生き延びていたました……というエピローグがつく。したがって、前作を観ていれば「心霊現象っぽい描写だけど、どうせブラームス(本体)の仕業なんでしょ?」という前提が付与されていることになる。

この予想を裏切ったのが本作ということになるのだが、心霊現象を示唆しているはずなのに「ブラームスでしょ?」「早く本体出せよ」としか思えない構造的欠陥を抱えており、全く怖がることができない。途中で訳知りな男が「ブラームスは死んだよ」と言ったみたところで「生きてるんでしょ?」という前提は決して揺るがない。オチは確かに違っていたが、本当にそれだけなのである。怖くなかったものが怖く変化するわけではない。

そのオチも酷い。前作では“本体(=おっさん)”が壁の中で生活しながら人形を操っていたという事実が、ただそれだけで強烈に笑えるものだった。対する本作では、「実は人形の仕業じゃなかった」から一転して「実は人形の仕業でした」をやってしまうのである。それだけは“なし”だろう。設定を根本からひっくり返してしまえば、それは確かに驚くが、前作のよかったところを“なかったこと”にしてどうする。確かに不気味ではあるが、“人形もの”としてはアナベルなんかよりも遥かにマシな造形のブラームス人形に罪がないのもよかったのに。

前作の知識を前提とすれば意外性があるが、それがなければ”そのまま”過ぎる。前作を観ていても怖くなくてつまらないし、観ていなくても意外性がなくてつまらない。これはある意味では離れ業である。

悪霊パワーを使って周囲を操り、危害を与えるブラームス人形。ジュードのことを「ビョーキ野郎」とバカにした従兄弟ウィルが“串刺し”になるのだが、即座に病院に搬送されて死んでいないようだった。即死したと思った。そんなブラームス人形と“決着”をつけるのがジュード本人なのだが、その前にライザが同じ行動を取るべきだったと思う。破壊する気満々なのに、「放り込んでくれ」と言わんばかりの暖炉の火を無視するなよ。

パッケージでブラームス人形の後ろに写っている人が“パーマのおばちゃん”に見えたのだが、ジュード少年だった。