オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ゴジラvsコング』

Godzilla vs. Kong, 113min

監督:アダム・ウィンガード 出演:アレクサンダー・スカルスガルド、ミリー・ボビー・ブラウン

★★★

概要

ゴジラvsコングvs???。

短評

モンスターバース第四作。『テネット』以来となる約一年ぶりの映画館である。「こればかりはやはりIMAXで観なければ」という期待に応えてくれるアガる一作だった。前作『キング・オブ・モンスターズ』と同様にガバガバな箇所がありはするものの、同作の設定をきっちりと踏襲し、『キングコング対ゴジラ』と比較すれば遥かに必然性ある対決の舞台が整えられている。大方の予想通りに『バットマンvsスーパーマン』と同じ展開になるネタバレが早すぎるのではないかと思ったが、同作のように決戦を焦らして消化不良になることはなく、出し惜しみしていないのが好印象だった。

あらすじ

“王座”を巡るゴジラの襲撃を避けるため、髑髏島を模したドーム内に収容されていたコングだったが、もはや隠し切れない程に巨大な成長を遂げていた。一方のゴジラは、フロリダに上陸してロボット工学を研究するエイペックス社を急襲。かつて見せた“人類の友”の顔を失っていた。そのエイペックス社は、対ゴジラの鍵を握るとされる巨大生物たちの住む世界──地下空洞の調査を計画。リンド博士をリーダーとするチームがコングを案内役として地下の世界に乗り込む。

感想

ゴジラが意味もなく襲うわけなんてない」とエイペックス社社長シモンズ以外の誰もが口にするものだから、彼らが“真の敵”なのは序盤も序盤から明々白々である。「これは構成としてどうなの?」と思うところがないわけではないものの、とりあえず第一ラウンドのゴングが鳴る。そこから先は「楽しいから別にいいや」状態である。

第一ラウンドの舞台はコングを南極基地へと運ぶ船の上。海中移動を主体とするゴジラが、水中というアドバンテージを武器にワニのデスロールのような技を決める。いかにも爬虫類らしくて素敵な動きである。こういう“生き物らしい動き”が三十郎氏は大好きである。ゴジラが“泳ぐ”動きも印象的に使われており、特に尻尾による攻撃は“クラーケン感”が出ていた。対して劣勢のコングは、判官贔屓な観客の声援(=爆撃)を受けて死んだフリ作戦を決行。これが奏功してコングは難を逃れるが、第一ラウンドはゴジラの圧勝である。ゴジラとコングの二匹が乗っても沈まない空母が凄いと思ったのだが、実際にはどの程度の重量に耐えられるように設計されているのだろうか。イナバの物置どころの話ではない。

第二ラウンドの舞台は香港。地下空洞探検を経験し(この謎SF要素が昭和ゴジラっぽい)、“伝説の斧”を手に入れたコング。熱戦によるリーチの優位を誇るゴジラに対して距離を潰す近接戦を挑んだり、斧で熱戦を受け止めたりする。道具を用いたり戦略的だったりと、哺乳類コングの知能の高さが光る戦いぶりである。香港が舞台ということで、高層ビルの間を移動するコングらしい姿が見られるのもよい(他には急勾配の坂道が逃げ惑う民衆の描写にマッチしていた)。しかし、勝負の世界では“力こそパワー”であり、ここでもゴジラに完敗するコングなのだった。強い、強いぞゴジラ!所詮コングは巨大なゴリラに過ぎない。

そして迎える第三ラウンドは、“真の敵”メカゴジラが登場。制御しきれずに暴走するというパターンは何番煎じなのか分からないが、そのデザインはいかにもメカメカしくて格好よかった。その質感と言い、カチカチと動く機構と言い、トイグッズ的に劣化した『パシフィック・リム2』よりもよほど正当に巨大ロボットの精神を受け継いでいたと思う。連戦の疲れからかメカゴジラに一方的にボコられるゴジラを“主人公”コングが助ける展開は既定路線だが(ここでゴジラが弱すぎたり、勝ち方があっさりなのは不満)、“その後”の展開が面白かった。

死んだフリ作戦に騙された時点では阿呆化されていると思ったものの、第二ラウンド終了後もコングにとどめを刺さないゴジラ。そう、彼は自分が“王”であることを誇示できればそれで十分なのである。「分かったか、三下?」と言わんばかりの、この余裕こそが王の証である。一応は「敵でないと理解した」というコングの精神勝利路線が用意されてはいるものの、二度もボコボコにされて死にかけたコングには三度ゴジラに立ち向かう気力が残っておらず、武器を捨てて海に帰るゴジラを見送る。この時にクソ雑魚怪獣ラドンのように平伏してほしかった気がするものの、流石にそこまではさせられないのがアメリカ産怪獣への制作陣の思いやりなのか。やはりタイトルで名前が先に来ている方が勝つのだな。

そもそもゴジラがコングを追うのも、“自分の地位を脅かす敵対者を排除するため”という『KOM』の対ギドラ設定が踏襲されており、無理やり戦わせた感が薄いのもよかった。

コングの“お相手”と言えばブロンド美女と相場が決まっているが、本作では耳の聞こえない美少女ジア(カイリー・ホットル)だった。コングのロリコン化が深刻である。確かにジアちゃんは可愛かったが、マディソン役のミリー・ボビー・ブラウンが妙に色っぽく成長していて、ロリ以外もよいものだと思った(無様に死ぬマイア役エイザ・ゴンザレスも美人である)。なお、彼女が活躍する“陰謀論者パート”は、話の展開以上にエイペックス社のセキュリティがガバガバで笑った。香港への輸送も生身の人間にとっては過剰なGが掛かって死ぬと思う。

直接の言及はなかったかと思うが、メカゴジラパイロット芹沢蓮(小栗旬)は芹沢猪四郎(渡辺謙)の息子らしい。ゴジラ信仰の持ち主とも言える父に反発心を抱いて対ゴジラの世界に足を踏み入れたのかは不明だが、彼の英語の発音はしっかりと父のそれを受け継いでいた。普通は二世の方が海外育ちとかで上手くなるだろうに。なお、彼の登場シーンの内、体感では三分の一くらいが白目をむいたイキ顔である。それ以外のシーンではクールキャラを気取っているだけに落差が酷い。