オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ワイルドバンチ』

The Wild Bunch, 144min

監督:サム・ペキンパー 出演:ウィリアム・ホールデンアーネスト・ボーグナイン

★★★

概要

初老の強盗団。

短評

主人公たちが横一列に並んで歩く、歩道で真似すると迷惑なショットとアクションシーンでのスローモーションが有名なサム・ペキンパーの代表作。「最後の西部劇」と評されることもあるそうだが、三十郎氏は熱心な西部劇ファンというわけではないため、その位置づけ的な魅力はよく分からなかった。冒頭の銃撃戦が凄いだけに、その後のやや冗長な展開には退屈するところがなきにしもあらずなのだが、クライマックスの壮絶な銃撃戦は圧巻だった。

あらすじ

パイク率いる強盗団が鉄道会社を襲撃するも、大量の賞金稼ぎに待ち伏せされてしまう。その上、銀貨があるとの情報は嘘であり、苦労して強奪したのはただの鉄だった。追手から逃れつつ、次の仕事を探してメキシコへと向かうパイク一行。立ち寄った村でマパッチ将軍の横暴な振る舞いに困っていると聞かされるが、彼らは将軍に歓待され、アメリカ軍の兵器を輸送する列車強盗を依頼される。

感想

本作のアクション面での見所は三つだろう。一つ目は、冒頭の鉄道会社襲撃シーン。一般市民を巻き込みまくりの大迷惑な銃撃戦である。初っ端からおびただしい数の銃弾が発射され、後には大量の死体が転がっている。言わば「最初からクライマックス」の大迫力である。「これは相当に激しい暴力映画なのだな」とワクワクするわけだが、延々と人を殺し続けているだけでもダメなので、ロードムービー的な移動パートに入る。

二つ目は、兵器強奪後に米墨国境の川に掛かる橋を落とすシーン(列車逆走アタックも好き)。橋が爆破され、追手の人と馬が川に落ちていく。CGのない時代なので実写である。割と無茶なことをしている。その後は最終決戦まで特に盛り上がるような場面はないものの、「滅びの美学」を描いた一作だけのことはあり、やや退屈に感じられる人物描写にも味がある。

パイクとダッジは“まとも寄り”に描かれているが、彼らは紛れもない“悪党”である。村の窮状を聞かされていたのに「報酬がいいから」と将軍と契約するようなクズである。そんな彼らが三つ目の見所となる将軍陣営との最終決戦に挑むわけだが、これが“村人を救うためではない”という点こそが物語の核と言えるだろう。

パイクたちが多勢に無勢の絶望的な戦いに挑むのは、あくまで仲間を助けるため(結果的には弔い合戦)なのである。それが悪党として矜持であり、同時に時代の変化に取り残された者の末路なのだ。圧倒的な戦力を誇る敵に立ち向かうというのは、いかにもヒーロー的だが、決戦の直前には娼婦に対して“行為後の値切り”をし、決戦の最中にも女を盾に戦うようなクズのままなのである。ゴーチ兄弟なんて途中で仲間割れして裏切りそうなキャラなのに、彼らも仲間なのである。

しかし、悪党が悪党として華々しく散る──この姿の格好よさに痺れてこその本作なのである。対称的な例が『スーサイド・スクワッド』となるわけだが、悪党までをも無理やり英雄に仕立て上げなければ肯定的に描けないような、清廉潔白な“正しさ”の跋扈する時代にあって、パイクたちの散り様は一際の輝きを放つ。だからこそ追手であるソーントンの顔にも喜びの表情はないのだった。

「ハハハハハハ」という笑い声は不気味に響き渡るものの、割とコミカルなシーンが多かった。特に笑えたのは、将軍が機関銃を手に入れ、「三脚に据えなさい」という忠告を無視して乱射するシーンである。阿呆である。なお、将軍は「エンジェルを返してやるよ」と言いながら彼の首を切り、その場で射殺される。やはり阿呆である。そのエンジェルだが、恋人を将軍に寝取られ、将軍とイチャつく恋人を「売女!(プータ!)」と罵りながら射殺している。どうして怒りの矛先がそっちに向かうのか。