オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ブレイド3』

Blade: Trinity, 113min

監督:デヴィッド・S・ゴイヤー 出演:ウェズリー・スナイプス、ドミニク・パーセル

★★

概要

半ヴァンパイアvs元祖ヴァンパイア。

短評

シリーズ最終章となる三作目。ライアン・レイノルズの出演からも分かる通り、ダークな世界観はすっかりどこかに消え去ってしまっている。三作品を通じて脚本を担当したゴイヤーが監督を兼任しているものの、「三部作」と呼ぶにはあまり連続性のない物語に終わってしまった。監督が本業ではないゴイヤーの演出が冴えないのは仕方ないとしても、脚本までもが三作品の内で最も物語性の欠如した酷いものというのはどういうことか。

あらすじ

ダニカ(パーカー・ポージー)たちヴァンパイアの罠にかかり、人間を殺めてしまったブレイドウェズリー・スナイプス)。FBIに逮捕されてしまい、そこが既にヴァンパイアの手に落ちていることを知る。ブレイドは監禁されているところを救出してくれたウィスラーの娘アビゲイルジェシカ・ビール)やハンニバル・キング(ライアン・レイノルズ)らの“ナイト・ストーカーズ”と行動を共にするのだが、ヴァンパイアは元祖吸血鬼であるドレイクを復活させ、ブレイドの命を狙っていた。

感想

吸血鬼の不死身能力を持つブレイドが人間に囲まれてあっさりと降参してしまう逮捕シーンから「えっ……」となるのだが、その後も、「細かいことは考えず、とりあえずアクションシーンを沢山入れてみました」的展開の連続だった。ヴァンパイアたちが邪魔なブレイドを始末するためにドレイクを用意したという意図は理解できるものの、監禁した時にさっさと殺しておけばそこで話が終わったのではないか。ドレイクが“対ブレイド”という目的以外に物語上の意味が特に見出だせないキャラクターだっただけに、一つの物語として芯が弱い。

元祖吸血鬼のドレイク。「ドラキュラ」だとか何とか色々な名前をお持ちのようだが、これが何とも小者である。「眠ってたのに復活させやがって」と怒っていたはずが、特にダニカたちと対立することはなく、街に繰り出すとヴァンパイアショップが気に入らないからと店員の血を吸う。ブレイドたちの前に姿を現したかと思えば、赤ん坊を拉致して逃亡し、「次に会ったら殺す」と言い残してやはり逃げる。どうして戦わないのか。元祖で最強ではないのか。おまけに、ブレイドの不在を狙ってアジトに侵入すると、“盲目の科学者”という最も弱そうな女を殺して「永遠の命は相応しい者に」とドヤァなメッセージを書き残していく。おっさんがビジュアル系みたいな胸元バックリのシャツを着ている時点で痛々しいのだが、行動までダサい。

ドレイクはブレイドと同じように紫外線対応である。この理由をブレイドが尋ねると、「元祖で特別だから」という答えが返ってくる。そうなのか。元々ヴァンパイアは太陽光に弱くなかったのか。紫外線を浴びると燃え尽きるという地球上での生存に適さない変異種が、どうして進化の過程で生き延びることとなったのだろう。そこにどんな適者生存の法則が働いたのか。気になる。紫外線に強いからと言ってニンニクや銀で対処するということはなく、ブレイドとの一騎打ちはヴァンパイア要素とは無関係な普通のチャンバラだった。なお、ドレイクはアビゲイルの放った矢を掴んでドヤっているところに二発目を撃ち込まれ、ついでに落とした矢をブレイドに刺されて死亡する。死の間際にも大者ぶった台詞を吐いていたが、どこまでも小者であった。

ライアン・レイノルズのギャグ連発によってダークさなど微塵もないコミカル路線となった一作だが、その雰囲気に合わせてなのか、ブレイドにも変化が現れている。まず、よく喋る。しかも台詞回しが割と軽い。これまでの寡黙なキャラクターはどこに行ったのか。アビゲイルに対して“師匠キャラ”になったり、衣装も黒一色だったのが赤の差し色を使っていたりするし、目的不明のキャラ変のオンパレードだった。せっかく三作品全ての脚本を同じ人が務め、最終作では監督まで兼任しているというのに、この統一感のなさは何なのか。ダークナイト・トリロジーはノーランが凄いだけの過大評価だったのか。