オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ライフ・オブ・ザ・パーティー』

Life of the Party, 104min

監督:ベン・ファルコーン 出演:メリッサ・マッカーシーモリー・ゴードン 

★★★

概要

夫に捨てられた女が娘と同じ大学に通う話。

短評

設定は良かったし、バカバカしくて普通に笑えるものの、素材を活かしきれなかった印象の残るコメディ映画。“母親と同じ大学に通う”となった娘の心情には当然に拒否反応が含まれていて然るべきなのだが、それを現代社会に跋扈する「ポジティブ」という名の病が許してくれないのか、異質なはずの主人公が何の苦労もなく周囲に受け入れられてしまっている。それ故に展開が平坦なものに終始せざるを得ず、ただ笑いを取って終わりのネタが散発的に見られるだけとなっていた。90年代辺りに同じ設定で撮っていれば、もう少しバランス感覚のある一作となったのではないかという気がする。

あらすじ

娘のマディー(モリー・ゴードン )を大学の寮に送った帰り道、突如として夫ダンから離婚を切り出されてしまったディアナ(メリッサ・マッカーシー)。彼女は悩んだ末に、在学中の妊娠と結婚により中退を余儀なくされた大学に復学することを決める。奇しくも娘と同じ大学に通うこととなったディアナは、娘や彼女の友人たちとパーティー三昧の学生生活を送ることとなる。 

感想

マディーは母から復学を告げられた時こそ戸惑いを見せるものの、その後は友人たちとの集まりに母が加わることを少し恥ずかしがるくらいで、“友達のように仲の良い母娘”の関係が揺らぐことはほとんどない。彼女のソロリティ仲間であるヘレン(ジリアン・ジェイコブス)、アマンダ(アドリア・アルホナ)、デビー(ジェシー・エニス)たちも普通にディアナを受け入れていて、一応登場するイジワル女のジェニファー(デビー・ライアン)たちが逆に浮いているような状態となっている。

仮に三十郎氏の想像する以上にアメリカで“再チャレンジ”に対する理解が進んでいて、本作と同じような状況にある学生が同じように自然に受け入れられるのならばそれもありかもしれないが、そうなると映画としては別のところで“困難”に対峙する必要が生まれる。本作はそれが極めて弱いと言わざるを得ない。元夫と寝取り妻から学費の支援を打ち切られたり、アガリ症故に口頭での中間発表に苦労するというのは、状況設定と上手く繋がっているとは言い難い。また、その解決方法も多分にご都合主義的で雑なものに終わっていた。周囲との関係以外にも勉学の面で直面する問題があるだろうに。

ディアナではなくマディーの方を主人公とし、最終的に彼女が母の再挑戦を受け容れる展開にした方が、“結論”としての再チャレンジ肯定を無理なく物語に織り込めたのではないかという気がするのだが、それはそれでテンプレ通りなのが物足りなく感じられるのだろうか。

最も好きだったネタは、髪型が特徴的なイケメンのジャックに関するものだろう。なんと彼はディアナに惚れ込む。熟女好きである。彼が図書館での行為後に「君は僕のダンブルドアだ!」という謎のロマンティックワードを発するのも笑えたのだが、彼には更に面白い設定が用意されていた。なんと彼の母親がディアナから夫を寝取った女なのである。「あんたの息子と寝たぜ」と“仕返し”する様子のなんと下品で愉快なことか。

ディアナ以外の“異分子”であるヘレン。彼女は八年間の昏睡の末に目覚めた“昏睡ガール”である。ディアナが彼女と対面した時に「あなたは他の子よりも年上に見えるわね」と言った時には「言うほどか?」と思ったのだが、演者が三十郎氏よりも年上のアラフォーで驚いた。全然いける。

“草チョコ”でハイになったディアナたちが元夫の結婚式を破壊した後、マディーが「学ぶために復学したと思ってたのにバカ騒ぎするためだったの?」と不満を述べるのだが、離婚調停後の母を「学生ならパーティーで乗り越えろ!」と連れ出したのはお前だろうに。