オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『テンダー・カズン』

Tendres cousines(Tender Cousins), 91min

監督:デヴィッド・ハミルトン 出演:ティエリー・テヴィーニ、アーニャ・シュート

★★★

概要

もうすぐ15才の少年と女たち。

短評

おフランス製の“性春”映画。登場する女性が美人揃いであり、皆ことごとく見事な肉体美の持ち主だった。とにかく眼福である。ソフトフォーカスの効いた絵画的に美しい映像が芸術的な一作なのかと錯覚させるものの、実態はイタリアの桃色コメディのように至るところで荒唐無稽にリビドーの花が咲くというものである。“物語の理解”というものを無視してよいと気づけば、ただ美しい裸体に喜んでだけいられる。

あらすじ

もうすぐ15才の少年ジュリアンは、1才年上の従兄弟ジュリア(アーニャ・シュート)に恋をしていた。ジュリアや彼女の妹プーヌ(ヴァレリエ・デュマ)、姉クレール(エリザ・セルヴィエール)、四人のメイドたちに囲まれ、ジュリアンの夏は楽しいものになるはずだったのだが、ジュリアには別の想い人がいた。

感想

本作には『妖しき従姉妹 テンダー・カズン』という別邦題が存在するものの、これは“エロ釣り”である。ジュリアは別に妖しくも何ともない。普通に思春期の恋する乙女である。しかし、そのお相手に問題があって、これがクレールの婚約者シャルルなのである。「お前には失望した!」となったジュリアンが複数の女たちからのお誘いを受けて色々と経験するという桃色羨まけしからん内容である。

最初に誘惑してくるのはメイドのマチルド(ガエル・ルグラン)。その理由はよく分からない。ジュリアンの部屋にやって来て「いいベッドね」と言ったかと思えば、「隣に座っていい?」と言い出し、何故か脱ぎだしてペッティングしているところをジュリアンの母親に見つかってクビとなる。なお、父親は「次は見つからないようにやれよ」とコメントしていた。

マチルドの代わりにやって来た新人メイドがマドレーヌ(カルメン・ウェバー)。ジュリアの恋の相手シャルルには問題があり、片乳を放り出して日光浴するくせに“お預け”を食らわせる婚約者クレーヌの代わりにジュリアにセクハラ運転教習したり、マドレーヌを呼び出して彼女が拒むのも聞かずに交わろうとする。なお、マドレーヌは管理人ラクロワにも迫られれば身体を許しており、極端に押しに弱い女性であった。三十郎氏の身近にあのような女性がいれば脱童貞が早まっただろうと思ったが、そのひと押しができなかったに違いない。

その後、なんやかんやあって、ジュリアンはメイドのジュスティーヌ(アン・フォンテーヌ)からお誘いを受けて交わる。これも理由はよく分からないが(マチルドと同じく好色の使用人アントワーヌが関係してはいる)、唐突に誘ってくる。ジュスティーヌは“暴発”したジュリアンに対して「速いわね」と文句を垂れていたが、童貞に無理を言うなよ。なお、メイドたちは皆股も胸元もユルユルで、一緒に暮らしていたら収まりがつかないと思う。

ジュスティーヌとの初体験によって自信をつけたジュリアンが“ドンファン化”し、最後はジュリアを無理やり押し倒す。二人は屋内で交わったはずが、事後のシーンが麦わら畑の中という謎の演出だった。とにかく綺麗な画を撮りたい。整合性とか知ったことではない──そんな強い意思の感じられる演出だった。

ジュリアンはプーヌが自分のことを好きだと言っていたが、彼女は幼すぎて流石に本作の桃色展開には絡んでこない。15才の少年というのは、年上女性の性的魅力に惹きつけられるものであり、彼がプーヌの魅力に気づくのは先のことだろう。

全体的にコミカルな一作とはなっているものの、その中で最も印象的なのは、時代を先取りした“男の娘”的なシーンが見られることだろう。結婚式の余興の劇に出演したマチューという少年が女装しているのだが、なんとジュリアンの父が彼に欲情する。もう何でもありである。