オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『サイコ3/怨霊の囁き』

Psycho III, 92min

監督:アンソニー・パーキンス 出演:アンソニー・パーキンス、ダイアナ・スカーウィッド

★★★

概要

ノーマン・ベイツのその後。

短評

映画史に残る傑作の続編が面白いはずがない──この確信と共に観た前作が意外にもいけてしまったため、その続編である本作にも小さめの期待をしていたのだが、これがまたもや“意外にも”悪くなかった。スリルについては明らかに力不足だが、ノーマン役のアンソニー・パーキンスが監督を兼任していることもあり、彼のキャラクターを活かしたドラマ性の高い一作に仕上がっている(前作はミステリー要素が強かったので作風に変化があるのもよい)。これがなかなか歪んだ構図になっていて楽しいのである。

あらすじ

あの事件から22年後、精神病院を退院したノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)は、モーテルの営業を再開して新生活を始めようとしていた。しかし、彼が町のダイナーに食事に行くと、あのジャネットに似た女性(ダイアナ・スカーウィッド)がいるのを見かけて“思い出して”しまう。その女性の名はモーリーンと言い、とある事情から修道院を追われた彼女はノーマンのモーテルに宿泊するのだが……。

感想

前作のように「果たしてそれはノーマンの仕業なのか」というまどろっこしい真似はしない。再び母の声を聞くようになった彼が、覗き穴でモーリーンの裸を確認し(おっぱいを見て「はっ!」となるのが童貞的で笑える)、いつもの場所であるシャワールームへと襲撃に向かう。しかし、ここからの展開が面白いところなのである。

モーリーンが修道院を追われた理由は、彼女が自殺しようとしているのを止めに入ったシスターを誤って殺してしまったというもの(『めまい』オマージュあり)。死にたがりの彼女をノーマンが殺しにいくと、なんと自殺の真っ最中なのである。これだけでも相当に皮肉で面白いのだが、意識朦朧の状態にあるモーリーンが、女装しているノーマンを聖マリアと見間違う。包丁が銀の十字架である。彼女は自分を殺しに来た男に命を救われ、その上、恋に落ちるのである。なんと歪んだラブロマンスだろうか!

その後、ノーマンが母から「あんな女、殺っちまいな!」と言われて悩むも、殺すに殺せずに別の女を襲ったり、真相に気づいて脅してきた男や行方不明事件を探ろうとする記者を殺すスリラー要素があるのだが、これらは半分おまけのようなものだろう。本作の核心はあくまで「愛」である。その愛が報われることはなく……という展開からの結末も上手くまとまっていたと思うのだが、最後の「まだあります」は蛇足だったか。しかし、ここまで来たらシリーズ最終作となる四作目も観てみたい。

ノーマンを目覚めさせてしまう切っ掛けとなる“モーリーンの外見”なのだが、髪型以外はあまり似ていなかったと思う。二人が出会ってしまった後の展開はとても好きだったので、出会いの部分にもう少し説得力を持たせてほしかった。

ノーマンは死体を製氷機に隠している。家宅捜索に来た保安官が氷を食べるというサスペンス要素があるのだが、血のついた氷を食べてもまるで意に介する様子がなくて笑った。そこをスルーさせるなら何か理由が必要だろうに。