オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『メイド』

Made, 94min

監督:ジョン・ファヴロー 出演:ジョン・ファヴローヴィンス・ヴォーン

★★★

概要

マフィアの代理人の仕事。

短評

ジョン・ファヴローの監督デビュー作。『スウィンガーズ』のコンビの再結成である。一応は「クライムコメディ」というジャンルになるのかと思うが、犯罪要素は極めて薄く、阿呆二人がひたすらバカやっている姿をダラダラと楽しむタイプの映画である。「こいつら阿呆やな」以外の感想は何も思い浮かばないのだが、ヴィンス・ヴォーン演じるリッキーの減らず口とやらかしぶりが楽しく、彼は分かりやすいアメリカン・コメディよりも本作のようなダウナー寄りの笑いの方が合っているのではないかという気がする。

あらすじ

建築現場で働きながらボクサーを目指しているボビー(ジョン・ファヴロー)。しかし、彼には才能がなく、恋人でストリッパーのジェシカ(ファムケ・ヤンセン)が家計を支えていた。雇い主兼パトロンでマフィアのボスのマックスから頼まれた仕事にもボビーは乗り気ではなかったが、ジェシカと彼女の娘クロエ(マッケンジー・ヴェガ)の生活を変えるため、親友のリッキー(ヴィンス・ヴォーン)と共にニューヨークへと飛ぶ。

感想

「ポケベル渡すから24時間対応できるように待機しろ」と言われてどんな厳しい仕事が待っているのかと思いきや、マフィアの仕事は超高待遇である。ニューヨークへのフライトはファーストクラス、現地での移動はリムジン、そしてホテルも雑費150ドル付きのスイートルーム。前金で1500ドルだってもらえる。そこで三十郎氏は「そんな甘い話があるわけ……」と仕事の危険性を心配するのだが、その内容はと言えば、当のボビーたちもよく分かっていないままに話が進んでいくという滑稽さが本作第一の魅力である。

彼らは指示された場所にとりあえず向かうも、そこで何をしてよいのかはよく分からず、喧嘩したりバカやったり、取引を破談に追い込みかけたりする。彼らは一応“用心棒”的な役割で送り込まれたようなのだが、これがまるで役に立たない。最後の最後でボクサーの腕っぷしがようやく発揮されるのかと思いきや、それすらもなく、「こいつら要らなかっただろ……」と呆れるより他にない阿呆そのものな話なのだった。このグダグダ感を楽しめる観客にとっては、本作はとても魅力的な一作である。

その上、いざ仕事を終えてジェシカの元に帰ってみると、彼女は生活の変化なんて望んでいなかったというオチがつく。なんと不毛な!ここで彼女が「娘を連れて行け」なんて言い出すものだから少々しんみりしてしまったが、クロエちゃんが放蕩する母よりも“ボビーおじさん”になついていてよかった。

ちなみにこのクロエちゃん。なんと「グリルドチーズサンドイッチは嫌い」だとのたまう。あんな美味そうな食べ物が嫌いな人間がこの世にいるだなんて。グリルドチーズサンドイッチと言えば、ジョン・ファヴローが『シェフ』で“飯テロ”していた料理である。あのシーンは実はセルフオマージュだったのか。最終的には母と同じ人生を送らせぬようクロエを引き取るボビーだが、この時は“プッタネスカ”を調理している。

隙さえあればすぐに喧嘩するボビーとリッキー。口喧嘩に取っ組み合いにと、取引よりもよっぽど負担が大きい。この二人のやり取りが非常に楽しいのだが、彼らの喧嘩を動物園でペンギンの鳴き声に重ねた演出は秀逸だったと思う。

リッキーがバスルームに連れ込んだ女が突如として泣きながら部屋から出ていくシーンがある。果たして、彼女の“バスタブの悪い思い出”とは何だったのか。あえて見せないことで成立する笑いもある。

サム・ロックウェルがホテルのボーイというちょい役で出演していた。特に見せ場があるわけでもなく、『グリーンマイル(1999)』以降の作品(2001)なので無名時代というわけでもないはずだが、どうした縁があっての出演なのだろう。

メイド (Made)

メイド (Made)

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