オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ゾンビ特急地獄行き』

Horror Express(Panic in the Trans-Siberian Train), 87min

監督:ユージニオ・マーティン 出演:クリストファー・リーピーター・カッシング

★★★

概要

シベリア鉄道でミイラが暴れる話。

短評

クリストファー・リーピーター・カッシングの英国二大怪奇映画俳優が豪華共演した一作(と言っても彼らがドラキュラを演じているところを見たことはないのだが)。もの凄く興味をそそられる邦題ではあるものの、明らかにゾンビ映画ではなかった。終盤にそれらしい描写はあるが、設定がゾンビとは異なる。その設定というのが、ゾンビの遥か斜め上を行く代物で、「よくこんなこと考えるな」と楽しませてくれた。特撮も低予算ながら見所があったように思う。

あらすじ

1906年四川省アレキサンダー・サクストン教授(クリストファー・リー)率いる英国の地質学調査隊が一体のミイラを発見。彼らはそれをモスクワへと運ぶべくシベリア鉄道へと乗り込むが、同乗していたウェルズ医師(ピーター・カッシング)が箱の中身を気にし、荷物番を買収して調べさせようとする。しかし、ミロフ捜査官が開示した箱の中にはミイラがおらず、目の白くなった荷物番の死体が転がっていた。

感想

復活したミイラが列車内で暴れ出す──てっきりその程度の話かと思っていたのだが、とんだ見当違いだった。まず、ミイラの知能が恐ろしく高い。ミイラは箱の隙間から手を伸ばして釘をゲットし、なんと“ピッキング”して鍵を外す。衝撃の展開である。この時点では単なる低質なジョークレベルのB級映画なのだろうと笑っていたものの、その後、このミイラの行動がちゃんと説明されるのである。

金庫破りしようとしていた女スパイのナターシャ(ヘルガ・リーネ)を殺害したミイラ。さらにはウェルズまでをも手に掛けようかというところにミロフが登場し、ミイラを射殺。しかし、それで列車内の惨劇が終わることはなく、サクストンたちが調査を開始する。

被害者の目が白くなっていることに着目した彼らが、眼球から採取した血液を顕微鏡で覗いてみると、なんとそこにはミイラの記憶が絵として表示される。解剖時に脳のシワがなくなっていたことと併せて考えた結果、ミイラは目から相手の知識や記憶が吸い取るという仮説が打ち出される。記憶を顕微鏡で見られるというのがどういうことなのか分からなくて戸惑うものの、ミイラはさらに斜め上を行く。なんと自身の記憶を見つめた相手に転移できるのである。そして、ミイラの正体がなんと別の銀河からやって来たエイリアンだったという衝撃の事実が明かされるのだが、一体何度「なんと」と言えばよいのか分からない。わけは分からなかったが、衝撃の展開の連続が楽しかったことは認めねばなるまい。

ミイラ改めエイリアンに乗っ取られた神父に立ち向かうコサック隊長のハゲ。「やっぱりハゲは頼りになるな!」とウキウキしていたのに、敗北を喫してしまって悲しかった。

エイリアンが相手の記憶を吸い取る時に目が赤く光る。これが『ターミネーター』のようで、不気味でありかつ格好よかった。列車内で感染(ではないが)が広がるという状況設定には『カサンドラ・クロス』的なものを感じられたし、意外に先進性があったのではないか(他に元ネタがあるのかもしれないが)。

伯爵夫人イリーナ役のシルヴィア・トルトーサが美人だった。重要そうな役に見えたが、大して重要ではなかった。