オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『THE 4TH KIND フォース・カインド』

The 4th Kind, 98min

監督:オラントゥンデ・オスサンミ 出演:ミラ・ジョヴォヴィッチイライアス・コティーズ

★★

概要

第四種接近遭遇。

短評

エイリアンとの接近遭遇を描いたSFスリラー。冒頭でミラ・ジョヴォヴィッチが「こんにちは、ミラ・ジョヴォヴィッチです。主人公アビゲイル・タイラー博士を演じます。衝撃の実話です」と宣言し、その後も実際の映像や音声がかなりの割合で挿入されている。執拗なまでの実話アピールだが、ここまでやると逆に胡散臭い。公開時には本当に実話として売り出していたようだが、調べれば“本人役”の演者も分かるし、どう見てもフェイクである。「こんな出来事が……」と前のめりになれるような内容ではないため、終始冷めきった気持ちで映画を眺めていたことは言うまでもない。

あらすじ

2000年10月、アラスカ州ノーム。夫を侵入者に殺害されたアビゲイル・タイラー博士(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は、患者たちが同じような夢や幻覚を見たと話していることに気付く。そればかりでなく、患者の一人が妻と心中する事件が発生したり、自身の口述録音にシュメール語が記録されていることが判明し、やがて彼女がエイリアンの関与を疑うようになる。

感想

これだけ執拗に「実話です」とアピールしているのに、そうだと信じられる要素が何もないのだから、映画を楽しめないのはどうしようもない。そもそもエイリアン関係の実話という時点で嘘くさいし、監督から本人へのインタビューだけならまだしも記録映像・音声が都合よく残され過ぎている。なんなら“本人”だって演技しているように見えてくる。

それはそれとして、もし本作の内容が仮に本当に実話であったなら、この演出は正解なのだろうか。本作は記録映像の挿入やスプリットスクリーンによる同時再生を利用し、いかにも「本当にあったことです」とアピールしている。しかし、映画というものは、それが実話であれフィクションであれ、一つの虚構の世界を構成しているわけであって、却って没入感を削ぐことにならないだろうか。仮に実話であっても「映画の方はウソです」と常に主張しているようなものなのだから。映画というよりはバラエティの再現VTRを見せられている感覚である。

実際の映像(悲惨なものが多い)が効果を上げている映画も数多くありはするものの、それは“ここぞという時”に使ってこそなのだろう。いっそのことモキュメンタリーで貫徹すればよかったと思うのだが、ミラ・ジョヴォヴィッチの出演によって制作費を集めたか。

夫が残した本を手掛かりに、シュメール文明の研究者アウォロワ・オデュサミ博士に連絡するアビゲイル。ここで彼女が博士の名前の発音に困るのだが、これは監督のオラントゥンデ・オスサンミが自身の名前の読みづらさをギャグにした演出なのだろうか。

ちなみに、タイトルの「第四種接近遭遇」とは、エイリアンに拉致されることである。第一種がUFOの目撃、第二種が痕跡の目撃、そして第三種がエイリアンとの接触Wikipediaを読んでみると、第三種までは天文学者が定義したそうだが、第四種以降は愛好家によるものとのことで、人類と宇宙人とが公的に交流を行う第九種まであるのだとか。