オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『フェイク・ガール 偽りの少女』

The Wrong Daughter, 90min

監督:ベン・メイヤーソン 出演:シドニー・スウィーニー、シンディー・バズビー

★★

概要

サイコ少女が他人の娘に成りすます話。

短評

シドニー・スウィーニーの2018年の主演作。ひと目見てそれと分かるテレビ映画クオリティだった。『ノクターン』で彼女のげっ歯類フェイスと巨大な乳房に心を奪われて以来(その前に『ワンハリ』や『アンダー・ザ・シルバーレイク』で出会っているが意識しなかった)、三十郎氏は出演作を見つければとりあえず観てみることに決めたのだが、『悪霊館』と同じく酷い出来だった。「出演者を目当てに観た映画はハズレ」に外れなしである。これは厳しい戦いが待っていそうだぞ。

あらすじ

養護施設の問題児サマンサ(シドニー・スウィーニー)は、度重なる深夜外出を咎められ、既に18才になったということもあって施設長のハンソン(エイプリル・ボウルビー)から追い出されてしまう。しかし、ルームメイトのダニカ(シエラ・ポンド)のノートPCを持ち逃げした彼女がフェイスブックを開いてみると、なんとダニカを捨てた母ケイト(シンディー・バズビー)から「会いたい」とメッセージが届く。他に行き場のないサマンサは、「これはしめた」とダニカに成りすますことを決める。

感想

ダニカに成りすしたサマンサのソシオパスぶりが見所の一作となるのだが、これが全く怖くない。演出も演技も、わざとらしいにも程がある。施設を追われてヤケクソになったサマンサが、お薬を飲むのを放棄して凶暴化。自分の要求が通らなければ相手を殺すのも厭わないというキャラクターのはずが、やることなすこと“分かりやす過ぎ”て、逆に全然怖くない。彼女は常軌を逸しているはずなのに、何も予想を裏切るようなことが起きないのである。脚本や演出の問題も大きいかとは思うが、シドニー・スウィーニーの演技も決して褒められたものではなかった。

殺害も厭わぬサマンサに陥れられる側の人間たちだが、これが驚くほど弱くて笑ってしまう。「ちょっとパソコン返してよ!」とサマンサに迫ったダニカは、両面式の本棚で逆側から本を押し出されて気絶。せめて驚いた拍子に転んで頭を打つくらい描写があってもよかったのではないか。サマンサの深夜の奇行を録画したアイヴァンは(泣き落としシーンで“武器”を利用する展開があるかと期待したがなかった)、階段から突き落とされて死亡。大の大人の男が細腕の少女に突き飛ばされるだなんて。義父となりかけるジョセフはカーペットを引かれると簡単に転ぶんで頭を打ち、挙げ句は警察までもが首を刺されて死亡。サマンサがいなくても何か他の原因で簡単に死んでいそうな人々であった。

ケイトがダニカに連絡した理由は、「妊活に失敗したから」である。そう、彼女はまだ若いのである。なんと16才でダニカを産み、育てられないと手放している。グループホームの施設長ハンソンも若く、ケイトの親友メリッサ(ケルシー・グリスウォールド)まで含めて、謎の美女揃いキャスティングだった。サマンサは少女と言っても“18才”という設定なのだが、34才の女性が18才の娘からもの凄く甘えられるというのはどんな気分なのだろう。ケイトと同世代の三十郎氏が18才の少年に対して抱く感想は「幼い子供みたいに振る舞ってないで働くか学校行くかしろ」だと思うものの、ずっと離れていた我が子だと違うものなのだろうか。