オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『セックス調査団』

Investigatin Sex, 106min

監督:アラン・ルドルフ 出演:ダーモット・マローニーニック・ノルティ

★★

概要

セックスについての討論。

短評

助平目的の男以外は誰も観ることがなさそうな馬鹿らしいタイトルの一作ではあるものの、意外に豪華なキャストが顔を揃え、脱いでいる。しかし、期待に反して大して桃色な内容というわけでもなければ、議論が深まることもなく、観終わって「一体何だったんだ……」という徒労感を残した。方法論が洗練される以前のインテリ界隈の雰囲気を表現したのか、議論が議論になっていない。そして、その結論はどうやら「そんなこと考えるだけバカらしい」というものらしい。コメディとしては狙い通りなのかもしれないが、特に笑えるわけでもなかった。

あらすじ

1929年、マサチューセッツ州。支援者ファルド(ニック・ノルティ)の邸宅に元大学教授のエドガーらが集まり、セックスについての喧々諤々の論争が交わされる。「男女が同時に達する確率はどれくらいなのか」「勃起は必ずしも必要か」「それぞれの初体験について」「愛とセックスは別なのか」と赤裸々な議論が繰り広げられ、速記者として呼ばれたゾエ(ロビン・タニー)やアリス(ネーヴ・キャンベル)らも彼らの言動に影響を受けるようになる。

感想

「男女の関係を客観的に捉える」というテーマの下、(女学生に手を出し過ぎてクビになった)元教授やその教え子たちが、“真剣にセックスを語る”というのが本作の内容である。「真面目に」「茶化さず」を条件にしていたはずが(その割に“刺激”として速記者にエロい服を着せる)、不真面目なファルドの乱入によってなし崩し的に議論が議論でなくなっていくという展開なのだが、三十郎氏に言わせれば、これは最初から学術的な議論ではない。酔っ払ってあーだこーだと管を巻くのと同じレベルである。

誰かが口にしたテーマについて各々が思うところを好き勝手に語り合う。ただそれだけなのである。議論の全体像におけるそれぞれの問いの目的が全く見えてこず、仮にその内の一つの問いに対する意見が合意に達したとしても、これでは学術的な知見は得られまい。もっとも、フロイトが独占していた性に関する科学的アプローチの別角度からの萌芽だと思えば、現代の水準では無意味に思えても、ブレインストーミングレベルでの意味はあったのかもしれない。既存理論の制約を受けないブルーオーシャンだけに、やっている本人たちは(無責任で)楽しいことだろう。

なんだかんだとそれぞれに好き放題に言い合い、討論は男女が顔を揃えた最終夜を迎える。そこで停電が発生すると、ファルド夫妻他が“おっ始め”、皆部屋から姿を消していく。結局、セックスは理屈ではないということなのだろうか。これまでの議論の無意味さとの辻褄は合うが、なんだかなあ……。

冒頭、ジュリー・デルピー演じるクロエがエドガーをフる場面でおっぱいを披露し、可愛い痴女ゾエ役のロビン・タニーも交合シーンでの登場である。「お、これは……」と期待が高まるも、その後はオスカーの謎の前衛映画のヒロインであるリンダ(ジャクリーン・アンダーソン)が劇中映画で謎おっぱいを見せているのと、最終夜に夫の眼前で寝取られセックスする人妻ジャネット(エミリー・ブルーニ)が脱いでいるだけだった。ロバで初体験を済ませたという好色家ファルドの家には多数の卑猥なオブジェがあるものの、これはカウント外だろう。ネーヴ・キャンベルは脱いでも見せない。

禁酒法の時代が舞台らしく、洗濯屋を隠れ蓑に違法居酒屋が営業しているという描写が興味深かった。